米テラデータは8月29日(現地時間)、クラウドアナリティクス・データプラットフォームの新製品「VantageCloud Lake」を発表した。同製品は、新しいクラウドネイティブ・アーキテクチャで、既存のクラウドアナリティクス・データプラットフォーム「Teradata Vantage」の全機能を提供する。

日本テラデータの代表取締役社長を務める高橋倫二氏は、「VantageCloud Lake」について、次のように語った。

「まったく新しいクラウドネイティブ・アーキテクチャに基づく製品。われわれが40年培ってきた技術とTeradata Vantageのすべての機能をクラウド上で提供するとともに、低コストのオブジェクトストアなどのクラウドのメリットも享受できる」

  • 日本テラデータ 代表取締役社長 高橋倫二氏

既存の「Teradata Vantage」がIT部門によって管理されているエンタープライズ・ワークロードをターゲットとしているのに対し、「VantageCloud Lake」は小規模なアドホック、探索的、部門別のアナリティクスワークロードなど多様なユースケースで活用するために設計されたセルフサービス型の製品となっている。

また、髙橋氏は「VantageCloud Lakeは市場の競争力を新たなレベルに引き上げ、当社にとって重要な戦略製品となる。われわれはクラウドコンピューティングが登場する前から40年にわたり、リソースの制限がある世界で最高のパフォーマンスを引き出すことに尽力してきた。その結果、限られたリソースでパフォーマンスを達成できる能力をクラウドに持ち込むことに成功した。システムリソースが無限であるクラウドアナリティクスのベンダーとは異なる。」、とアナリティクス専業ベンダーとしてのアドバンテージを強調していた。

今回、「VantageCloud Lake」の発表に伴い、製品のリブランドが行われた。「Teradata Vantage」を「VantageCloud Enterprise」とし、同製品と「VantageCloud Lake」を総称してクラウドアナリティクス・データプラットフォームのブランド「VantageCloud」となった。

  • テラデータのクラウドアナリティクス・データプラットフォームの最新ラインアップ

執行役員 テクノロジーセールス事業部 事業部長の小永井崇氏が、各製品の詳細を説明した。同氏は「VantageCloud Enterprise」と「VantageCloud Lake」の違いについて、「Enterprise Editionは統合データウェアハウスに、また、Lake Editionはデータレイクハウスに適している。Lake Editionはタイプの異なる用途に対応できる」と説明した。

具体的には、「VantageCloud Lake」は「データアナリティクスを小さく始める」「個別のデータマート」「ユースケースを新しく始める」など、新規で分析基盤を構築する場合に適しているという。スモールスターが想定されていることから、月額4000ドルのスターターパックも提供が予定されている。

ちなみに、「VantageCloud Enterprise」のエントリーエディションと比較すると、年額1万ドルから2万ドルの差があるそうだ。こうしたコスト差も踏まえ、今後、顧客にクラウドアナリティクス・データプラットフォームを提供する際、まずは「VantageCloud Lake」を提案すると高橋氏は語っていた。

「VantageCloud Lake」はアーキテクチャにおいても特徴を備えている。「ユーザー&管理コンソール」「独立したコンピュートクラスタ」「Lake File System」の3つの層から構成されており、ストレージとコンピュートが分離されている。ファイルシステムは、Amazon Web Services(AWS)のファイルシステムと低コストのオブジェクトストレージの2種類を利用できる。

今回、テラデータはAWSと連携し、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)、Amazon Elastic Block Store(EBS)、Amazon S3をサポートした。2023年には、AWS以外の主要なクラウドサービスプロバイダーで利用できるようになる予定だ。

  • VantageCloud Lakeのクラウドネイティブなアーキテクチャ

そのほか、「VantageCloud Lake」の特徴的な機能としては、「インテリジェントなスケーリング」「ルールベースのスケーリング機能」「課金情報の可視化」がある。具体的には、必要な場合にのみ自動的にスケーリングするワークロード管理が可能なほか、ポリシー駆動型のスケーリング機能により、特定のワークロードにガードレールを設定し、予算管理を容易にする。

  • Teradata VantageCloudのエディションの比較

クラウドアナリティクス・データプラットフォームの刷新に合わせて、クラウドアナリティクス機能「ClearScape Analytics」の機能も大幅に拡張された。

今回、50以上の時系列関数を含むデータベース分析ライブラリが追加されたほか、AI/MLをスケールアップする統合ModelOpsが導入された。これらの機能はデータベースに組み込まれているため、高いパフォーマンスを発揮し、必要なデータ移動も最小限だという。