サーバ出荷数量と価格高騰で売り上げ増
サーバ出荷数量の増加と価格高騰により、2022年第2四半期のエンタープライズSSD市場は、前四半期比31.3%増の73億2000万ドルに達したと、台湾の半導体市場動向調査会社であるTrendForceが発表した。
2022年第1四半期のキオクシアの材料汚染事故に起因する供給不足と相まって、2022年第2四半期における北米のハイパースケールデータセンターおよびエンタープライズクライアントからの需要高まりを受け、顧客が将来の供給不足回避に向けた調達を強化したためだとTrendForceは分析している。
エンタープライズSSDに注力する各社
Samsungは、需要回復を追い風にエンタープライズSSDの売上高を前四半期比17.8%増の32億6000万ドルにまで伸ばした。現在、同社は8月発表したばかりのCXL 2.0製品など、次世代仕様製品の開発に注力しているという。
同社のエンタープライズSSDは現在128層であり、その後継は236層を予定しているが、同プロセスの量産スケジュールは2023年下半期になる可能性があるという。一方、SK HynixとSolidigm連合は、2023年初めにも176層品を発売する予定としているほか、Micron Technologyに至ってはすでに176層品を大量生産している。また、YMTCがPCIe 4.0品をリリースしたこともあり、Samsungはコスト圧力を感じているようであり、2023年には中国で176層製品を発売すると見られるという。
一方のSK Hynixは、北米顧客とのパートナーシップを拡大し、PCIe製品の出荷を増やした結果、同四半期のエンタープライズSSDの売上高は同32.1%増の17億9000万ドルとなった。SKグループのSSDビジネス戦略としては、2023年に176層TLCソリューションを量産する予定であるほか、QLCについてはSolidigmが192層プロセスで導入し、PLC(Penta Level Cell)製品も計画しているという。
Micronの同四半期におけるエンタープライズSSDの売上高は同31.7%増の7億9800万ドルで、同社の176層PCIe 4.0品は、まだ増加傾向にないが、他メーカーよりも優れたプロセスとコスト優位性から、検証メーカーが増えているという。Micronでは、エンタープライズSSDの出荷を増やし続けることで、弱含んでいる消費者向け製品の影響を軽減しようとしている。
そしてWestern Digital(WDC)の同四半期エンタープライズSSD売上高は、同約2倍の7億6600万ドルとなった。第1四半期の原材料汚染事件を踏まえ、サーバ顧客を優先することで収益を確保した模様である。また、Western Digitalのパートナーであるキオクシアの売上高は同50.3%増の7億800万ドルで、PCIe 4.0製品の出荷割合を増加させたことに加えて、PCIe 5.0製品の大量生産や次世代SAS 3.0ソリューションの立ち上げなどを進めたことが背景にある。なおTrendForceによると、キオクシアはPCIe 5.0製品を積極的に展開しているため、2023年はエンタープライズSSD市場のシェアを拡大する可能性があるとしている。