インターネットイニシアティブ(IIJ)は8月30日、新たに自社開発したSASE(※1)サービス「IIJセキュアアクセスサービス」を9月1日より提供開始すると発表した。
新サービスは、安全なリモートワーク環境の実現に不可欠なSASEサービスを低価格に提供するものだと同社は説明する。セキュリティ機能として「Webゲートウェイ」、「ファイアウォール」、ネットワーク機能として「リモートコネクト(リモートアクセス)」、「プライベートコネクト」を提供。必要な機能を組み合わせて利用できる。提供価格は1ユーザ月額990円(税別、最少50ユーザー)からで、初期費用として55万円(税別)かかる。
「業務システムのクラウドシフトの加速により、クラウドに預けた情報を安全に取り扱う必要性が増している。また、働き方改革や新型コロナ対策としてのテレワーク普及により仕事をする場所やシステムが動的に変化し、従来のセキュリティ確保のモデルでは不十分となってきた」と、IIJ セキュリティ本部 副本部長 山口将則氏は昨今の環境の変化を説明し、「小規模な顧客にも導入を検討してもらえる価格帯の新サービスを開発した」と語った。
新サービスは3つのポイント「セキュア」「シンプル」「低価格」をコンセプトにしている。トラフィック課金がなくシンプルで分かりやすい価格体系で提供し、すべての機能を集中管理できるIIJ独自のUIを提供するという。
セキュリティ機能であるWebゲートウェイは、Web通信に対してフィルタリングやアンチウイルス処理および各種アクセス制御を行うサービスだ。アプリケーションの制御は、利用しようとしているクラウドアプリケーションを識別し、個別に利用の可否を制御することができるという。
同じくセキュリティ機能であるファイアウォールでは、簡易的なアクセス制御機能を持った「タイプ1」、マルウェア対策などのUTM機能を持った「タイプ2」の2品目から選択することが可能。タイプ2は、アンチウイルスや侵入防御、クラウドアプリケーションの制御などを行うことが可能で、2023年1月から提供を開始する予定だ。
ネットワーク機能としては「リモートコネクト」と「プライベートコネクト」2種類を提供する。リモートコネクトは、専用エージェントをインストールしたユーザー端末が、同サービスのWebゲートウェイおよびファイアウォールを利用するための機能。
プライベートコネクトは、同サービスと「IIJプライベートバックボーンサービス」を接続するための機能。同機能により、IIJのバックボーン上のネットワークを経由して、社内ネットワーク上の情報リソースや閉域接続したクラウドサービスにアクセスすることができるという。
セキュリティ機能とネットワーク機能から、それぞれ必要な機能を1つ以上選択することで新サービスを利用することが可能。機器導入は不要で「プロキシ通信のみの利用や、プロキシ通信と非プロキシ通信の利用といったように柔軟に対応できる」(山口氏)という。
また、セキュリティログの収集・分析からインシデント対応までワンストップで提供する「IIJ C-SOCサービス」との連携も可能だ。両サービスを合わせて利用することで、セキュリティログの集約・分析、およびインシデント発生時の初動対応までをIIJに任せることができ、セキュリティ運用の負荷軽減につながる。
IIJは今後、リモートコネクト機能の拡張やCASB(クラウドサービス利用状況の可視化・制御)との連携、ZTNA機能の追加など「IIJセキュアアクセスサービス」のさらなる拡充を進める。また、海外にも設備を展開し、海外出張時や海外拠点での利用できるようにしていく方針だ。