ディスプレイ国際会議「IMID 2022(22nd International Meeting on Information Display)」が、韓国釜山(Busan)で8/23-26の4日間開催され、Samsungが77”QD-OLEDを初披露した。さらに基調講演では、Samsung DisplayのPresident and CEOであるJS Choi氏が、2022年を起点としたSamsungの新たなOLED戦略を紹介した。

初披露された77”QD-OLED

IMIDの展示会場では、「The World's First 77”QD-OLED」と題して、今年上市した55”と65”を上回る77”サイズを公の場で初めて披露した(図1)。

  • IMID 2022 Exhibitionで展示されたSamsungの77” QD-OLED

    図1 IMID 2022 Exhibitionで展示されたSamsungの77” QD-OLED。(左上)Samsung Displayの出展ブース。77”QD-OLEDは右手の部屋の奥に展示されている。(左下)77”QD-OLEDの展示風景。(右)77”QD-OLEDの映像デモ (IMID 2022展示会場にて撮影)

QD-OLEDは、2022年のCESで初めて公開され、55”と65”のTVが市場に出ている。この65”に関しては、IMID 2022の2週間前にソウルで開催された「Korea Display」(8/10-12開催)の展示会場で、画質の比較デモが行われていた(図2)。この65”の比較デモは、今回のIMID 2022展示会場でも同じ内容で実施されており、また5月に米国San Joseで開催されたSID国際会議の併設展示会場でも行っており、世界各地で積極的なプロモーションを進めている。

  • Samsungの65”QD-OLEDの画質の比較デモ

    図2 Samsungの65”QD-OLEDの画質の比較デモ。左側写真は、2台の65”-TVを並べて画質の比較デモを行っている様子。2台のうち左側はQD-OLED品、右側は従来品。右側の説明パネルでは、QD-OLEDの色表示と明るさの性能を誇示している (Korea Display展示会(2022年8/10-12@Seoul COEX)にて撮影)

参考:SamsungのQD-OLED、ディスプレイ国際会議「SID/Display Week 2022」に登場

2022年を起点とした新たな戦略を発表

IMID 2022国際会議の基調講演では、Samsung DisplayのPresident and CEOであるJS Choi氏が登壇し、Samsungの新たなOLED戦略について述べた。

これまでLCDからOLEDへの転換を戦略的に推し進めてきた結果、OLEDは大きな市場に成長し、2022年は新たなステップに向かって踏み出すことを宣言した。その為の3つの柱として、G8フルサイズのIT OLEDライン投資、ITおよびAutomotive市場に向けた先進的な技術・製品、次世代のマイクロディスプレイを掲げ、これらを支える具体的な技術としてQD-OLEDを含む8つの技術を紹介した。 8つの技術の中に「OLED 2.0」がある。OLEDの技術・製品をさらに高めて差異化するためにいくつかの事例を紹介しており、その中の1つに「Clear MR」を掲げている。Clear MRは、「VESA(Video Electronics Standards Association)」が8月22日に新たに発表したディスプレイの動画表示性能を評価するための指標となる規格である。今回のChoi CEOの講演資料ではLCDに対してOLEDの優位性を示している(図3)。今回、VESAの発表と同期してSamsungがIMID 2022の基調講演でClear MRを紹介したことは、LCDに対する新たな差異化戦略の一環と捉えることができる。

  • Samsung DisplayのPresident and CEOであるJS Choi氏の講演風景

    図3 Samsung DisplayのPresident and CEOであるJS Choi氏の講演風景。OLEDの新戦略「OLED 2.0」の中の一環としてClear MRを紹介している (IMID 2022国際会議の基調講演(2022年8/24@Busan)会場にて撮影)

なお、8つの技術の中には、今後拡大するメタバース市場に向けたマイクロディスプレイもあげられている。これについては改めて別の記事で触れたいと思っている。