東芝は8月30日、信頼できるAIシステムの開発・提供・運用を推進するため 、同社グループの理念体系に基づき、AIに対する理念を7つの観点でまとめた 「東芝グループ AI ガバナンスステートメント」を公開した。
同社グループは、同ステートメントの考え方に基づき、 AIを開発・提供・運用できる人材の幅を広げ、 AIシステムの品質を保つ仕組みづくりを強化し、AIガバナンスの構築を進めていく。
同社グループの東芝グループAIガバナンスステートメント策定のポイント、AI人材育成、AIシステムの品質保証について紹介しよう。
AIの利用拡大と共に生じる課題
東芝 執行役員 技術企画部 AI-CoEプロジェクトチーム リーダー 堀 修氏は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速により、AIの重要度が高まっている。われわれは、現場からセンシングしたデジタルデータをAIで分析することにより、価値を提供している。東芝のDXにおいて、AIは重要かつ強力なツールとなっている」と、同社グループにおけるAIの位置づけを説明した。
続いて堀氏は、AIの利用が広がるとともに、AIによる社会課題が発生していることから、AIのガバナンスの必要性が生じていると指摘した。人を動物に誤認識して人権問題に発展するなど、AIの透明性、公平性、頑強性に関する課題が生じているという。
「AIはデータを学習して性能を発揮するが、学習データに誤りや偏りがあるという課題がある。また、AIはどんなに学習しても誤りはゼロにならない 必ず誤判定が起きる」(堀氏)
こうした状況を踏まえ、国内では政府から複数のAI利用に関するガイドラインが出されているほか、海外ではIシステムへの法規制が検討されている。同社のステートメントはこうした国家のガイドラインや法規制に準じている。