BlackBerryは8月26日、オンラインで記者説明会を開催し、自社のビジネス状況ならびにクラウド接続型の高拡張性ソフトウェア・プラットフォーム「BlackBerry IVY」で進めている協業状況などの説明を行った。
同社は現在、IoTユニットとサイバーセキュリティユニットに分かれており、IoT事業として主に「QNX」「Radar」「Certicom」「Engineering Services」「IVY」という5つのソリューションを提供しているという。
同社はAWSと共同開発されたIVYが発表された2020年12月以降、自動車分野を中心としたパートナーとの協業を拡大してきており、そうした取り組みにより、同社のソリューションを採用する車両数は年々増加しており、2022年第1四半期のQNXだけを見てもデザインウィンは自動車分野で9、医療機器などのその他分野で5となっており、自動車分野の受注残だけを見ても1億1000万ドルにおよぶという。
自動車メーカー(OEM)のトップ10社すべてに採用されており、EVに至ってはトップ25社中24社に採用されているほか、ティア1トップ7社中7社にも採用されているという。また、270以上の車種に搭載され、2022年には2億1500万台に搭載される見通しとなっているとする。
中でも先行して発表済みのBMWとの協業は重要な意味を持つという。というのも、BMWは自動運転向けにこれまでLinuxを活用してきたというが、これをQNXに置き換えることを決定したという。
今回の説明会では、新たに中国の大手IoVテクノロジー製品・サービスを手掛けるPATEOが手掛けるQNXのハイパーバイザを採用したインテリジェントコックピット「PATEO CONNECT+」が、VOYAH、Hozon New Energy(NETA)、中国を代表する民間自動車企業、国際的な自動車企業2社を含む自動車メーカー5社が製造する10モデル以上の車種に採用され、量産を開始すること、ならびにフォルクスワーゲングループのソフトウェア子会社「CARIAD」が、同社のソフトウェアプラットフォーム「VW.OS」の構成要素としてQNXを採用したことが明らかにされた。
また、IVYについては、自動車メーカーとスマートシティのためのエッジ・トゥ・クラウド・ソフトウェアプラットフォームという位置づけで、車両に搭載され、クラウドから制御を行い、各種センサから得られたデータを解析することで、さまざまな知見を得ることを可能とするものであることから、このIVYの特徴について、同社では、他のOEMなどが開発するソリューションと比べ、より速いイノベーションの実現、経済性の向上、研究開発リスク回避、データとユーザーエクスペリエンスの制御、規模拡大とエコシステムといったメリットを享受でき、OEMはより付加価値の高い領域にリソースを集中することができるようになると説明している。
さらに、こうしたメリットを提供するためにはエコシステムの構築が重要だとしており、その拡充を恒常的に図ってきたという。2021年3月には500万ドル規模のイノベーションファンドを立ち上げたほか、今回、カナダのSaaSアクセラレータであるL-SPARKと協力して、コネクテッドカー技術に注力するカナダのテクノロジー企業4社を、第3期共同アクセラレータプログラムとして選出したことを明らかにした。
今回選出された4社は、AI推論最適化プラットフォームを提供する「Ddeeolite」、各種センサ、通信モジュール、および車載オンボード・コンピュータとの直接接続機能を実装し、画像、映像、その他のデータエレメントを取り込むための包括的なビデオ・テレマティクス・プラットフォームを提供する「Raven Connected」、ディープニューラルネットワークを使用することで、現実世界の環境を確実に理解できる高度な組み込みAIベースの認知システムを開発する「Sensor Cortek」、インテリジェントなリアルタイム脅威防御に特化したサイバーセキュリティ・ソフトウェア・ベンダである「Wedge Networks」としている。