東京商工リサーチは8月23日、2022年度の「賃上げ」に関する調査結果を発表した。同調査は、2022年8月1日~8月9日にインターネットによるアンケートを実施、有効回答6,204社を集計、分析したもの。

同調査では、賃上げ実体を把握するため「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)」、「新卒者の初任給の増額」、「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義している。

今年度の賃上げの有無については、「実施した」が82.5%(6,204社中、5,120社)で、前年度の70.4%から12.1ポイント上昇したという。コロナ前の2019年度の80.9%と比べても1.6ポイント上回り、定期的な集計を開始した2016年度以 降では 、官製春闘の2017年度の82.7%に次いで、2番目に高い水準となったとのこと。

産業別で見ると、「賃上げを実施した」割合が最も高かったのは、87.2%(1,918社中、1,674社)の製造業だった。これに、卸売業84.5%(1,382社中、1,168社)、建設業83.7%(788社中、660社)と続いている。一方、最低は、農・林・漁・鉱業の60.7%(28社中、17社)だった。金融・保険業(67.3%)と不 動産業(67.5%)を合わせた3産業は、実施率が6割台にとどまったという。

  • 2022年度の賃上げ実施状況(全企業) 資料:東京商工リサーチ

賃上げを実施した企業を対象に、賃上げをした項目を聞いたところ、。5,092社から回答が得られた。最多は、「定期昇給」の81.0%(4,128社)だった。これに、「賞与(一時金)の増額」44.2% (2,255社 ) 、「ベースアップ」42.0%(2,142社)、「新卒者の初任給の増額」18.2%(927社)の順で続いている。

  • 賃上げした項目 資料:東京商工リサーチ

「実施した」と回答した企業に賃上げ率を聞いたところ、2,832社から回答が得られた。最多は「1%以上2%未満」の33.4%(948社)だった。「1%未満」を含む「賃上げ率3%未満」は69.8%(1,978社)となっており、実施企業の約7割が3%未満の賃上げにとどまった。