世界のEDAソフトウェア市場の規模は2020年の81億ドルから2024年には136億ドルに成長し、その年平均成長率は13.8%になるとの予測を半導体市場動向調査会社であるTrendForceが公表した。
現在、EDA市場は寡占的で、Synopsys、Cadence Design Systems、Siemens EDA(旧Mentor Graphics)の3大プレーヤーで構成されている。TrendForceによると、2021年の市場シェアはSynopsysが32%、Cadenceが30%、Siemens EDAが13%をそれぞれ占めているという。
米国政府は8月15日付けでEDAについて、中国をはじめとする複数の国に対する輸出禁止に踏み切った。この措置の前、2019年にHuaweiが米国商務省のエンティティリストに記載されたことを受けて、SynopsysやCadenceなどのEDA企業が提供するEDAのHuawei子会社であるHiSiliconに対する供給を米国商務省は承認しなかった。その結果、EDA業界全体の市場規模には大きな影響にはならなかったが、Huaweiに大きな影響を与えることになったという。
中国内にもEmpyrean TechnologyなどのEDAメーカーがあるが、その実力はトップ3社に比べ大きな差がある。具体的ンは、「アナログ回路設計EDA」と「FPD回路設計EDA」は比較的成熟しているものの、「デジタル回路設計EDA」や「ファウンドリEDA」は依然として米国ベースのEDAに大きく遅れており、最先端ロジックであるGate-All-Around(GAA)向け設計ソフトウェアは準備できていないとする。
もし、現在の輸出禁止措置が発効する前に中国メーカーが大量の認可済みEDAソフトウェアを購入したとしても、実際のソフトウェアの使用には、ライセンス更新のために開発会社にネットワーク経由で接続する必要がある。米国はこれを効果的に禁止できると考えられるとしている。
中国のIC設計業界は短期的にはGAA向けEDAを必要としないが、3~5年後にはGAAベースの3nmプロセスでの設計を行うために必要となると見られており、そうした先端対応EDAツールがなければ、中国のIC設計業界は、チップ開発のどこかで困難に直面することになるとTrendForceでは指摘している。また、中国のファウンドリもEDAの使用を要求しており、米国の技術で作られた機器やソフトウェアを使わせないという制裁で課せられた制約は、中国の半導体産業の長期的な発展に影響を与える可能性があるとしている。