半導体市場動向調査会社の仏Yole Groupが、市販のGaNデバイスのリバースエンジニアリングを行った調査報告書を発行した。同社はその中で、「GaNパワー半導体市場の継続的な成長と、民生用電子機器から自動車に至るさまざまなアプリケーションに採用されていることが確認できた。GaNパワー市場は、2027年に20億ドルに達すると予想される」と述べている。
シリコン半導体に比べて比較的新しい技術であるため、GaNデバイスのメーカーは、デバイスの設計、製造、およびパッケージングに対してさまざまなアプローチを提案している。GaNエピタキシーの技術的な難しさから、ほとんどのメーカーはデバイス製造のさまざまな段階を外注し、それによってGaNデバイスのビジネスモデルを既存のデバイス製造ビジネスモデルから変えており、かつそのビジネスモデルも各社ごとに異なっているという。
2010年の最初の商品化以来、GaNデバイスの性能と付加価値が受け入れられ、エンドユーザーに受け入れられる価格になってきた。STMicroelectronicsの新規参入企業も増え、最大130Wの電力定格を提供しつつ、手頃な価格でモバイル充電機器にモノリシックパワーGaN ICが採用されるようになってきた。
ただし、GaNデバイスにはまだ技術的および商業的な課題がいくつかあるという。技術的には、製造歩留りや電気的性能の向上が求められているほか、商業的には、GaNデバイスのさらなるコスト削減と、さらなる適用アプリケーションの開拓による消費市場の拡大が必要だとYoleは指摘している。
なお、同報告書の主な指摘事項は、以下の通りとなっている。
- パワーGaN市場は、2027年に20億ドルに達すると予想される。
- 電源アプリケーションが主な推進力になる。
- Al GaN/GaN HEMTは、高出力で低ノイズの高周波アプリケーション向けSiデバイスに代わる可能性があり、より優れた代替品となる。
- Siとサファイアは、市販のGaN HEMTデバイスに使用される主な基板である。SiCやGaNなどの他の基板も考慮される。