半導体市場動向調査会社である台TrendForceによると、2022年第2四半期のDRAM市場は前年同期比6.5%増の255億9000万ドルとなったという。
成長理由として同社では、ビット出荷量が増加したためであるとしている。特にPCおよびモバイルDRAMはインフレ起因の需要低迷の影響を受けたが、サーバDRAMの需要は引き続き強く、トップ3メーカーの四半期出荷の伸びは前四半期比5~10%増となり、全体的な売り上げについてもトップ3社ともに増加を果たしたという。
また、市場シェアについてはSamsung Electronics、SK Hynixの韓国2社だけで70.9%と圧倒的な存在感を示している。一方のMicron Technologyは、サーバおよび自動車分野からの需要の後押しを受け、同四半期の売上高を同9.7%増の62億7000万ドルとなり、トップ3社中で最高の伸び率を達成したという。トップ3社の利益率は、それぞれSamsungが50%、SK Hynixが43%、Micronが41.5%となったという。ただし、第3四半期については、顧客の在庫調整の影響を受ける形で、3社ともに売り上げは減少する可能性があるとTrendForceでは予測している。
各社の生産能力の増強については、Samsungの各工場はフル稼働に近づいており、新たな平澤事業所P3Lラインを2023年初頭にも稼働させ、1α-nmプロセスを採用したDRAM生産を開始させる見通しである。SK Hynixも、韓国の利川本社工場M16ファブや中国の無錫工場などでウェハ投入枚数を増やしているが、M10ファブをロジック製造に移行させたため、DRAMのウェハ投入量は全体としてはわずかな数量に留まったとしている。M16ファブには、まだ拡張の余地があるが、悲観的な需要見通しを考慮すると、同ファブでの2023年の生産量はわずかな増加に抑えられるものと予想されている。Micronに至っては2022年中の生産能力増強計画はなく、次世代プロセスの導入に注力している。2022年後半より1α-nmプロセスを導入し、1β-nmは2022年末より広島工場で生産を開始する予定になっている。1β-nmプロセスは歩留りが一定水準まで改善した後、2023年に台湾工場に移管され量産が進められる見通しとなっている。
台湾勢に関しては、NanyaがコンシューマDRAMの割合を高めているが、中国のロックダウン政策の影響により、出荷が減少し、第2四半期の売上高は前四半期比14.0% 減となっている。同社は新工場ファブ5Aの建設を2025年の完成を目指し開始しているが、新工場が完成するまでは生産能力の増加はほとんどないものと予想されるという。Powerchip Semiconductor Manufacturing(PSMC)は、DRAMファウンドリを兼ねているが、自社の標準DRAMのみの売上高については、生産能力を増加させたため約21.8%増となった。ただし、ファウンドリの生産能力の方を減らしたため、全体的な売上高は同1.0%減となるという。そしてWinbondの売上高は、主にネットワーク関連顧客の在庫調整とTVメーカー向けの出荷減により、同3.3%減となった。現在、Winbondの高雄工場は完全に25nmプロセス専用となっており、次世代の20nmプロセスの大量生産は2023年半ば以降が予定されている。