多くの企業がDXの推進を目標として掲げている。しかし、そもそもDXを推進するためのシステム基盤は整っているだろうか。もし、長年使っているオンプレミスのサーバ環境のままDXを進めようと考えているなら、早急にクラウド移行を考えるべきだろう。なぜなら、DXの推進にクラウド環境は欠かせないからだ。
7月21日に開催された「TECH+セミナー クラウド移行 Day 2022 Jul. クラウド移行でDX推進の基盤を支える」に、アダストリアDX戦略部 インフラ開発チームリーダーの村野康生氏が登壇。自社サーバをオンプレ環境からクラウド環境へと移行した経緯と、移行のメリット・デメリット、移行の際の留意点などについて講演を行った。
なぜクラウド移行を決めたのか?
アダストリアは「Play fashion!」をミッションに掲げ、ショッピングセンターを中心に展開するカジュアルファッションの専門店チェーン。衣料品に加えて生活雑貨や家具、飲食など幅広く事業を展開している。公式Webストア「.st(ドットエスティ)」の会員は1300万人超、2022年2月期の連結売上高は2,015億円とその成長は著しい。海外にも73店舗を展開し、現地のマーケット特性に合わせた“グローカル”戦略でさらなる事業拡大を図っている。
そんな同社は、システム開発にも多額の投資を行っている。コロナ禍の影響により国内店舗開発への投資を抑える一方で、システムへの投資は惜しまない。今後はBtoB事業を積極的に拡大することを予定しており、社内に閉じていたシステムを外部に開放するためにもシステム構築が欠かせないからだ。
同社がクラウドを導入したのは今から5年前のことである。その背景には、将来に向けた成長戦略があった。
「店舗における顧客体験の変革、ECの強化、グローバル展開、事業領域の拡大。これら4つの成長戦略を下支えするためには、DXの推進が不可欠でした」(村野氏)