中国最大のファウンドリであるSMIC(中芯国際集成電路製造)が発表した2022年第2四半期の決算概要によると、同四半期の売上高は、前年同期比41.6%増、前四半期比3.3%増の19億320万ドルとなったものの、純利益は前年同期比25%減の5億1430万ドルと、3年ぶりに前年同期を下回ったという。
趙海軍(Zhao Haijun)共同最高経営責任者(CEO)は、新型コロナウイルスの感染を封じ込める「ゼロコロナ」政策の影響で設備の稼働率が低下したが現在は元に戻ったと述べているほか、2022年上半期には総額25億ドルの設備投資を実施し、計画通り8インチ相当の月間生産能力を5万3000枚増加させたほか、新ファブ建設プロジェクトも計画通りに進んでいるとしている。
景気後退で生産計画の再調整を計画
趙CEOは8月12日に行われたテレコンファレンスで、「景気減速や在庫調整で一部の顧客(スマートフォンやテレビなど家電メーカー)の需要が減退してきている。消費者向け半導体・電子部品サプライヤが新規発注を停止しており、景気の急速な冷え込みに見舞われて、生産計画の再調整を余儀なくされている」と述べ、半導体市場のダウンサイクルは少なくとも2023年上半期まで続くとの見解を明らかにした。
また、同氏は「売上高全体の約7割を占める中国市場は、ゼロコロナ政策に伴う行動制限などが当面続く見通しのため、中国への依存度を下げ、海外比率の引き上げで成長持続を目指す」としている。
現在同社は日本(東京)、台湾(新竹)、米国(サンノゼ)、イタリア(ミラノ)に海外マーケティング拠点を置いている。しかし、中国の技術的台頭を封じ込めたい米政府は、SMICをエンティティリストに記載しており、今後はさらなる対中輸出規制の強化も行うものと見られており、海外売り上げ比率の引き上げはなかなか難しいものとみられる。一方、中国政府による半導体自給自足をめざす政策に沿って、同社は中国市場で2025年に生産能力を2021年時点の約2倍に増やす計画についてはそのまま進めていく方針を示している。
なお、同社は2022年第3四半期の業績ガイダンスとして、売上高を前四半期比0~2%の増加(ほぼ横ばい)との見方を示している。