ウェザーニューズ、QPS研究所(QPS研)、九電ビジネスソリューションズ(Qsol)、九州電力(九電)の4者は8月9日、衛星の観測データをAIで分析して得た、海氷の大きさや分布などの高精度な情報を活用した、より安全で確実な船舶の運航を支援するサービスを提供するための覚書を締結し、共同実証を開始したことを発表した。
海氷は海水が凍結してできた氷であり、一般的には流氷や氷山などと呼ばれている。厳密には、海を漂っているのが流氷であり、海岸に定着したものは「定着氷」と、同じ海氷でも状況によって2種類に分類される。
歴史上、船舶と海氷の海難事故といえば、1912年に起こったタイタニック号が有名だが、技術が大きく進展している現代でも海氷との衝突の危険性はゼロではない。特に、海氷が存在し得る高緯度・寒冷な海域や港湾における船舶の運航では、衝突の危険性はもちろんだが、衝突を回避するために航路変更することで運航スケジュールの遅延などが発生するリスクもある。そのため、より高精度で即時の海氷情報が求められている。
そこで今回の実証では、衛星の観測データをAIで分析して海氷情報をマッピングし、現地の実際の状況や既存のサービスと比較することで、海氷情報の精度や有用性を検証するとした。詳細な4者の役割は、以下の通り。
ウェザーニューズ
海氷情報の精度や運航支援サービスにおける有用性などを検証
QPS研
同社の小型合成開口レーダー衛星が取得した高分解能なデータによる海氷情報の精度向上を検証
Qsol
衛星の観測データをAIで分析し、海氷情報をマッピング
九電
最適な衛星データの選定やAI解析技術、マッピング機能などを組み合わせた、より利便性の高い海氷情報の提供や有用性を検証
なお、今後4社は、今回の実証で得られる知見をもとに、衛星の観測データやAI分析など先進的なデジタル技術を活用することで、より安全で確実な船舶の運航を実現することに貢献していくとしている。