藤田医科大学、川崎重工、SEQSENSEの3者は8月10日、医療従事者の負担軽減・業務効率化による質の高い医療の持続的提供の実現に向けた取り組みとして、川崎重工とSEQSENSEで共同開発した屋内配送向けサービスロボットを用いた配送業務自動化の実証実験を2022年8月8日から9日にかけて藤田医科大学病院で実施したと発表した。12月に最終の実証実験を行い、2022年度内の藤田医科大学病院でのロボット導入を目指す。

今回の実証実験では、スタッフステーションから検査室までの検体搬送業務に必要な機能や現場での運用方法について検証した。ハードウェア技術を有する川崎重工と自律走行制御技術を有するSEQSENSEがロボットを共同開発することで、病院内の環境下でのより安全・確実な走行を実現しているという。

  • 実証実験の様子

患者や医療機器など多くの人やモノが行き交う病院環境下で、ロボットはよりスリムであること、多くの荷物を積めるようにしたいなどの、これまでの実証実験で抽出されたニーズを反映した設計となっている。また、さまざまな建物に警備ロボットを提供しているSEQSENSE独自開発の3D LiDARシステムと自律走行制御技術を機体に導入することで、広範な空間認識とこれに伴う障害物などの検知能力を向上し、世界最高峰の自律走行性能を実現したという。

  • 使用されたロボット

実証実験は3段階に分けて行われ、フェーズ1では、自律走行機能を有したロボットによる同一フロア内搬送の検証と人のエレベータ操作補助あり別フロア移動の検証を2021年10月23日~31日の期間で行った。

フェーズ2では、自律走行機能・エレベータ連携機能を有したアーム付きロボットによる別フロア間搬送の検証(検体配送・見守り)、iPNT-KTMを活用したロボットの位置情報の把握といった実験を2022年2月4日~15日に行った。

今回行われたフェーズ3では、サービスロボットによる病院内作業と病院側システムとの連携検証、ロボットの荷室サイズや構造、使い勝手の検証を2022年8月8日~9 日に行ったほか、2022年12月以降にも改めて実施予定だという。

3者は今回の実証実験において、それぞれの知見を活用することで、医療現場における労働力不足の解消や医療従事者の負担軽減に寄与し、より質の高い医療を提供できる環境の整備に向けた取り組みを進めていきたい考え。