ファミリーマートは8月10日、Telexistenceが開発したAIロボット「TX SCARA」および店舗作業分析システム「TX Work Analytics」を8月より順次導入を開始し、今後300店舗へ拡大すると発表した。
AIロボット「TX SCARA」は、店舗従業員の作業負荷の大きな飲料補充業務を24時間行い、これまで人間が行っていた飲料補充業務を完全になくすことを目指す。
同社はTXのロボット・AI技術の活用により、店舗人員を増やすことなく新たな時間が創出され、店舗の労働環境や売場の質の向上、店舗の採算性の改善を見込んでいる。
また、店舗作業分析システム「TX Work Analytics」に関しては、店舗従業員が位置情報の発信機を装着し、店内に設置された受信機が位置データを認識することにより、各時間帯における業務の作業時間を可視化・分析を実現する。
「TX SCARA」は、TXの独自ハードウェアにNVIDIA GPUで高速化されたAIテクノロジーを組み込んだもの。具体的には、NVIDIA Jetson TX2モジュールを頭部に搭載し、カメラから入力される映像の伝送に活用しているほか、足部にNVIDIA Jetson AGX Xavierモジュールを搭載することで、AIによる自律動作機能を実現している。
加えて、NVIDIA Jetson AGX Xavierの搭載により、飲料によって異なる最適な把持点の認識など、画像認識のニューラルネットワークを並列で実行することで機能向上を実現している。
さらに、「TX SCARA」はロボットソリューションサービスのクラウドプラットフォームに「Microsoft Azure」 を採用し、ロボットのタスクマネジメントシステムに活用しており、小売業向けの「Robot-as-a-Service」といえる。
飲料の在庫状況を24時間モニタリングする「TX SCARA」がスキャンした在庫情報は、Microsoft Azure上のシステムがデジタルツイン情報として把握している。AIシステム「GORDON」はこれを受け、各店舗のこれまでの売上の傾向や時間帯別の需要から最適な飲料陳列を予測して、TX SCARAが次に実行するタスクを判断して指示を行う。
Microsoft Azureのシステムでは、TX SCARAが稼働するコンビニ各店舗での売れ行きを示すデータベースも稼働しており、TX SCARAがリアルタイムでスキャンする現在の在庫情報と、蓄積された過去の売れ行き動向から計算された最適な陳列タスクを予測・実行することができる。これにより、店舗における品切れを最小限に抑えることを実現する。