AMDと中国の吉利控股集団(吉利グループ)傘下のモビリティ技術会社であるECARX(億咖通科技)は8月4日、次世代型EV(電気自動車)のコックピット向け車載コンピューティング・プラットフォームの開発に向けた戦略的提携を発表した。
最初の提供プラットフォームとされるECARXデジタルコックピットは、2023年後半に量産を予定しており、AMD Ryzen Embedded V2000プロセッサとAMD Radeon RX 6000 シリーズGPUを、ECARXのハードウェア/ソフトウェアとともに使用するという。
両社は、ECARXの自動車用デジタルコックピット設計の経験と、AMDの高度なコンピューティングパワーとビジュアルグラフィックレンダリング機能を組み合わせることで、革新的な車内体験の提供を目指すとしている。
市場動向分析企業の米Strategy Analyticsによると、EV市場とそれをサポートするために必要な技術は、今後の自動車半導体市場の成長要因となり、関連する半導体需要は2021年から2026年にかけて年平均31%で成長すると予測されているという。
米国と中国、AMDが期待する2つの巨大市場
AMDの年次決算報告書(Annual Report 2021)よると、同社にとって米国と中国は、売り上げの多くを占める巨大市場で、米国が約28%、中国が約25%と、この2国だけで過半を占める規模となる。
中国ではEV市場が急成長を続けており、AMDではその流れに乗ることで、自社のCPU/GPUのさらなる拡販を狙うことを目的に今回の提携を進め、さらなる中国や欧米の自動車メーカーに対する売り上げの増加を図ろうとしているようである。
なお、吉利グループは、中国の大手自動車メーカーである吉利汽車や欧州のボルボやダイムラーの筆頭株主である。