京都工芸繊維大学(京都工繊大)は8月4日、導電性の銀めっき糸と絶縁性の綿糸のみを用いて、1回で編み上げることが可能な5層構造のテキスタイル型圧力センサを開発したと発表した。

同成果は、京都工繊大大学院 工芸科学研究科 先端ファイブロ科学専攻の松井洋太大学院生(研究当時)、同・外村一樹大学院生、同・大学 繊維学系のYu Annie助教、同・石井佑弥准教授らの研究チームによるもの。詳細は、材料と構造の力学の全般を扱った学術誌「Mechanics of Advanced Materials and Structures」に掲載された。

ヒトや動物などのやわらかい生体向けのウェアラブルセンサとして、ソフトでフレキシブルなテキスタイル型センサの活用が期待されている。これまでに、テキスタイルを用いたひずみセンサや温度センサ、電磁波センサ、圧力センサなどが研究されてきたが、機能性物質の塗布やプリンティングを何層にも重ねる研究報告が多数あるが、製造工程が複雑であったり、繰り返し使用や洗濯などにより、剥離が生じてしまうという課題があったという。

また、テキスタイル型センサの表面に導電性の糸や導電性のコーティング層が使用されているものもあるが、こうした導電部分に人体が触れると人体由来のノイズがのってしまい、信号検出に影響を与えるという課題もあり、表面を絶縁性の布などで覆う追加構造を施すなどの対応が必要になっていたともする。

そこで研究チームは今回、スペーサーファブリックの構造を基盤として、新構造の静電容量方式のテキスタイル型圧力センサを開発することにしたという。

さまざまな試行錯誤の結果、導電性の銀めっき糸と絶縁性の綿糸のみを用い、1回で編み上げることが可能な形で開発することに成功したとする。