東日本電信電話 茨城支店(以下、NTT東日本)と茨城県笠間市は8月2日、NTT東日本が開発中の「IoT健康管理システム」を用いて実施した、市役所職員のヘルスケアをサポートするトライアルの結果を公表した。

長期化するコロナ禍においてリモートワークなどワークスタイルの多様化が進み、職場での心身のケアがより一層重要視されている。こうした中で、NTT東日本と笠間市はIoT健康管理システムを用いて職員のバイタルデータや市役所内の環境データを一元管理し、職員の心身の変調を早期に発見することを目的にトライアルを開始したという。

  • トライアルの実施イメージ

    トライアルの実施イメージ

検証期間は2021年12月から2022年3月末まで。企画政策課、企業誘致・移住推進課、保険年金課から30人の市役所職員が参加した。データを取得したのは脈拍や体温などのバイタルデータ、二酸化炭素濃度な温湿度などの環境データ、およびバイタルデータから算出されるストレス値だ。

  • 取得したデータ

    取得したデータ

職員の心身の状態を早期に把握可能かを検証するため、取得したストレス値から職員の個別の傾向を可視化した結果、継続的にストレス値が高い職員や前月よりもストレス値が向上した職員の特定に成功したという。高ストレス値が計測された回数の多い職員については、管理職からリフレッシュを促す声掛けなどのアクションが実施された。

  • 職員ごとの高ストレス値の計測回数

    職員ごとの高ストレス値の計測回数

また、自己申告時に「ストレスはない」と申告した職員が本当にストレスを抱えていないかを検証するために、自己申告による心理的負荷度合いとデバイスで計測したストレス値を比較した結果、自己申告とデバイス計測値にギャップがある職員(自己申告の心理的負荷度合いは平均より低いがデバイスが計測したストレス値が平均より高い職員)が確認されたという。

  • 「自己申告による心理的負荷度合い」と「デバイスによる高ストレス値計測回数」の比較

    「自己申告による心理的負荷度合い」と「デバイスによる高ストレス値計測回数」の比較

さらに、曜日や時間帯とストレス値との相関を見ると、月曜日から木曜日と比較して金曜日は高ストレス値を計測した回数が少ない傾向が見られたとしている。時間帯では、午前と比較すると午後の方が高ストレス値を計測する回数が多い傾向があり、特に15時から16時に多くなっていたようだ。両者はこの結果を受けて、ストレス値が高くなる曜日や時間帯に効果的に休憩を取り、リフレッシュすることがストレス軽減につながるのではないかと見ている。

  • 曜日・時間帯別に高ストレス値を計測した回数

    曜日・時間帯別に高ストレス値を計測した回数