米国の130nm~90nmプロセス専門のレガシーファウンドリであるSkyWater Technologyは、米国政府から補助金が供与されるのを前提に、18億ドルを投じて半導体研究開発および生産施設をインディアナ州に建設する計画を発表した。

この新施設は、インディアナ州および地元のPurdue大学との官民パートナーシップにより、同州Discovery Park DistrictのPurdue大キャンパス内に設置され、SkyWaterの開発および生産を担当するとしている。また研究開発では、Purdue大の研究陣との交流を深め、積極的に同校卒業生を採用し、今後5年間で新たに750人の雇用を創出するとしている。

今回の投資は、Skywater、Purdue大およびインディアナ州が協力して、連邦議会を通過したばかりのCHIPS法により提供される助成金を取得できることを前提にしており、着工は補助金の受領直後の2023年になる見込みだという。米国政府の補助金総額は520億ドルだが、多くのデバイス、製造装置、材料メーカーに分配される見込みのため、個別の企業にいくら配分されるかは未定である。

  • SkyWaterのインディアナ州工場の完成予想図

    SkyWaterのインディアナ州工場の完成予想図 (出所:SkyWater)

国防総省からの資金を活用し、Googleとの90nmオープンソース設計を促進

またSkyWaterは8月28日(米国時間)、90nmプロセスを用いたオープンソース設計の促進に向け、国防総省(DOD) から1500万ドルの資金を受け取ったことも発表している。

これはすでに発表済みの2700万ドルの投資の一部であり、Googleと提携し、オープンソースシリコンへの取り組みを強化することを目指すとしている。SkyWaterは、Googleとのパートナーシップを通じ、オープンソースのSKY130 PDK(130nmプロセス用プロセスデザインキット)を提供し、130nmミクスドシグナルCMOSプロセスで特定用途向けASICのオープン ソース設計を可能にしたが、今回の取り組みによりそれを90nmにまで広げるという。

この新しい商用オープンソース製品「SKY90-FD」は、MITリンカーン研究所の90nm FD-SOI CMOSプロセス技術に基づいているとする。このプロジェクトのDODプログラムマネージャーであるマシュー・ケイ博士は、「国防総省は、繰り返しかつ確実に実行する必要があるミッションクリティカルなシステムや防衛アプリケーションで重要な役割を果たしている多くのOSS(オープンソースソフトウェア)プログラムを使用している。オープンソースは、累積的な取り組みを通じてイノベーションを加速し、その透明性により信頼を育む。これにより、設計上の欠陥や悪意のあるコードの特定が可能になる。このオープンソースの使用により、テクノロジーが改善され、米国の防衛における最先端技術が促進される」と述べている。

Googleは、RISC-V FoundationおよびLinux Foundation のCHIPS Allianceプロジェクトの創設メンバーとして、またOpen Compute Foundationで積極的な役割を果たし、オープンソースシリコンをサポートしてきた歴史がある。Googleは、将来にわたって半導体設計・製造に関するコストを削減し、ハードウェアのスタートアップや中小企業の参入障壁を減らすことを目標に、オープンシリコンに関与するようになったという。