Samsung Electronicsが7月28日に発表した2022年第2四半期(4~6月期)の決算概要によると、半導体(Device Solutions:DS)部門の連結売上高は前年同期比24%増の28兆5000億ウォン(約2兆8500億円。1円10ウォン換算)となり、過去最高を更新したという。
このうち、メモリ事業の売上高は、サーバからの堅調な需要と、平均販売価格の維持により、前年同期比および前四半期比で改善したほか、ファウンドリ事業を含む非メモリ事業の売上高は、5nmプロセスの歩留まりが改善したことにより前年同期比44%増の7兆4200億ウォン(7420億円)となった。また、同部門の営業利益は同44%増の9兆9800億ウォン(約1兆円)とこちらも過去最高を更新したという。
メモリの売り上げは伸びたが出荷ビット数量増加は期待外れ
メモリ事業の業績は、売上高が好調であったものの、マクロ経済を取り巻く各種問題によりモバイル機器などに対する消費者需要が弱まった結果、DRAM、NANDともに出荷ビット数量の成長は事前ガイダンスを下回った。
DRAMは、ポートフォリオの最適化により、サーバを中心に堅調な需要に積極的に対応することで、サーバ製品の売上高が四半期で過去最高を更新したが、PCやモバイルなどのコンシューマ製品の需要が低迷したため、総ビット数の伸びは目標を達成できなかったと同社では説明しており、今後については、過度な販売拡大を抑制し、需要に応じて柔軟に供給を管理していくとしている。
一方のNANDについては、価格弾力性の高さを考慮しつつ、高密度品を中心に需要創出に注力し、コスト競争力を武器に積極的に需要に対応することで、市場のリーダーシップを強化していくとしている。
また、下半期に向けては、データセンター大手を中心にコアインフラへの投資や、AIや5Gなどの新たな成長分野への投資が拡大し続けると予想されるため、サーバの基本的な需要は堅調に推移すると同社は予想しているものの、一部のICの供給問題や、広範囲にわたる景気後退、地政学的問題への懸念により、顧客は一時的に在庫レベルを調整する可能性があるともしている。
業績が改善したシステムLSI事業/ファウンドリ事業
非メモリのシステムLSI事業は、DDI(ディスプレイ・ドライバIC)やボリュームゾーンSoCの供給増、為替の好影響により、前四半期比で収益が改善した。同社によると、2億ピクセルイメージセンサの供給や車載用SoCビジネスの欧州顧客に加えて米国顧客の確保などが大きいという。また、下半期には、5G SoCのラインナップを拡充による顧客基盤の拡大を通じて2億ピクセルイメージセンサの供給を拡大させることで、売上高と利益率の成長を目指す方針だという。
一方のファウンドリ事業(Samsung Foundry)は、5nmプロセスの製造歩留まりの向上、HPCを中心とした先端プロセスの堅調な需要、各種用途の成熟プロセスの安定した需要により、四半期ベースでの過去最高の売上高と利益を達成したとする。
6月には3nm GAA(Gate-All-Around)プロセスの量産を始めたとするほか、第2世代GAAプロセスの開発完了を急いでいるとする。なお、TSMCやIntelは3nmプロセスでは、GAAを採用せず、従来のFin FETを維持することを決めており、Samsungの賭けが吉とでるか凶とでるか半導体業界は注目している。