大型膜面構造物や土木・物流資材などを手掛ける太陽工業は8月1日、日本海事協会との協力により、向かい風でも前進する帆走技術の開発に向け特許を申請するとともに、2022年8月より琵琶湖にて同技術の実証実験を開始すると発表した。
日本海事協会は、風を受けて進み海水でプロペラを回すことで発電する帆船型風力発電船の構想をもとに、OEHV(Ocean Energy Harvest Vessel/海洋エネルギー収穫船)と呼ばれる技術の2030年までの確立・実用化を目指し、太陽工業と共に2021年3月より技術開発を開始している。
両者は、船上の空中翼と海中の水中翼が連動して動作することで、帆にかかる力による転倒を防ぐ技術も開発しており、これについては2022年5月に特許申請を行ったという。
強い風が吹く遠洋まで自力で移動できる帆船での発電は、空気より密度の大きい海水で発電機のプロペラを回すため効率の良い発電が可能で、送電線を必要とせず自ら発電・蓄電し、港に直接エネルギーを届けられるとのことだ。
2者が現在開発を進める帆走型風力発電船の帆走技術では、左右に傾く回転型の帆によって、風に応じて効率的に揚力を生むことができるという。また、帆を飛行機の翼のような構造とすることで、厚みが生まれ高い揚力を得られるとしている。
太陽工業によると、軽量かつ高強度な帆の骨組みおよび、その表面を覆う高耐久膜の製造において、同社の技術が活用されているとのことだ。
太陽工業は今後、膜構造の技術開発で培われた「風に耐える」技術を活用した帆船型風力発電の開発協力を通して、再生可能エネルギーとして「風を利用する」技術に発展させていく計画だとしている。