IDC Japanは8月1日、2021年の国内ITサービス市場ベンダー売上ランキングを発表した上位5社の順位変動は無かったが、2位のNTTデータは同市場の売上高が1兆円を超えたという。
2021年の同市場規模は5兆8712億円で、2020年と比べて3.2%増加した。ベンダー売上の上位5社は、1位から順に、富士通、NTTデータ、日立製作所、日本電気(NEC)、日本IBMであり、順位は2020年から変わらないが、2位のNTTデータが富士通に続いて国内ITサービス市場売上額が1兆円を超えたとのこと。
また、IBMはキンドリルの設立に伴って売上額およびシェアが低下したが、IBMに残留した部分が好調であったこと、もともと6位以下との売上額の差が大きかったことから、順位の変動には至らなかったという。
サービス分野別に見ると、プロジェクト・ベース市場は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)関連の需要の高まりや、SAP関連およびクラウド・マイグレーション需要の継続、また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響からの回復も見られ、上位10社のうち8社がプラス成長を示した。
マネージド・サービス市場は、クラウドを含めた包括的なITインフラのアウトソーシングなどの需要が高く、上位10社のうち9社がプラス成長となった。
サポート・サービス市場では、従量課金型サービスが好調に推移した他、Windows 7のサポート終了や消費税増税前の駆け込み特需の反動減の終息、COVID-19感染拡大によるハードウェア出荷遅延からの回復もあり、上位10社中8社がプラス成長を示した。
産業分野別に見ると、金融ではオンライン系銀行、クレジットカード、損害保険など、各ベンダーがそれぞれ異なる領域で売上を伸ばした。
また、売上額の前年比成長率が最も高かったのは、7年連続でアクセンチュアだった。顧客のデジタル化、業務改革を支援するためのコンサルティング、設計/構築、運用、BPOサービスまでを一貫してサポートする一連のサイクルが効果的に機能していることが、同社の成長を支えていると同社は見ている。
国内ITサービス市場では、産業分野によってばらつきはあるものの、プロジェクト・ベースを中心にCOVID-19感染拡大の悪影響からの回復が進んでいるという。同時に、COVID-19感染拡大が企業のDXへの取り組みを加速した部分もあったとのこと。また、政府によるデジタル庁の設置など、今後のITサービス市場のシェアに影響を及ぼす可能性のある動きも見られるという。
同社ITサービスのシニアマーケットアナリストである吉井誠一郎氏は「国内ITサービスベンダーは、COVID-19の感染拡大下で顧客に導入されたサービスやソリューションを俯瞰的に見直し、さらに、基幹システムを起点とするDX支援を強化すべきである。また、地方自治体のDX対応を支援する共同利用型プラットフォームの整備を進めるべきである」と述べている。