三菱電機と三菱地所は8月1日、両社共同で東京都千代田区の常盤橋タワーおよび隣接のTOKYO TORCH Parkにドップラー・ライダーを設置し、丸の内エリアの風況(風速・風向)を計測・可視化する実証実験を開始すると発表した。
高層ビルが立ち並ぶ都市部では、近年の気候変動の影響もあり、風の影響が予想しにくくなっている。2027年度に竣工予定の超高層ビルであるTorch Towerなどの開発が進む常盤橋エリアや、東京の文化的・経済的な中心という大手町・丸の内・有楽町(大丸有)エリアでも、風が安全性や快適性に大きく影響しているという。
今回の実証実験では、常盤橋タワー屋上(地上約212m)に半径1.5kmの風況を計測できるスキャニング型ドップラー・ライダーを設置し、常盤橋・大手町・丸の内・有楽町エリアを含む広範囲の風況を計測する。
ドップラー・ライダーとは、レーザー光を空間に発射し、大気中に浮遊する塵やエアロゾルの動きを捉えた散乱光を受信することで、遠方の風況(風速・風向)を計測する装置。
同時に、TOKYO TORCH Parkの地表付近に鉛直型ドップラー・ライダーと超音波風速計を設置し、常盤橋エリアを中心に上空の風況を計測する。計測で得られた結果に基づき、課題解決に繋がるデータ・ソリューションを開発することで、同エリアのエリア・マネジメントの高度化や、安全・安心で快適な街作りの実現につなげる。
両社は紺菓の実証実験に関して、地上風(高さ2m付近)と上空風(5~250m)の風況データ(水平・上下方向の風速、風向)を計測・可視化し、分析・活用することで、高所での建設作業やゴンドラなどを使用した窓清掃作業の強風対策、エリア内でのイベントの安全な開催、ドローンなどの安全な運航、空飛ぶクルマの安全で効率的な離着陸場運営など、風に関連する諸課題の解決に貢献するソリューションの開発を目指す。
商社の役割としては、三菱電機が独自のAI(人工知能)技術である「Maisart(マイサート)」と組み合わせた「風況データソリューション」を提供し、三菱地所が、エリア内での実証実験サポートおよび、現場からのフィードバックとソリューションの検討を行う。
なお三菱電機は、今回の実証実験などを基に開発したソリューション・サービスの、2023年度以降の提供を目指す。