ジェネシスヘルスケアは2022年8月1日、遺伝的な疾患リスクや体質など6500項目以上を解析する全ゲノムシーケンシング遺伝子検査キット「GeneLife WGS」(以下、WGS)の販売を開始したと発表した。

  • GeneLife WGS

    8月1日から発売を開始した全ゲノムシーケンシング遺伝子検査キット「GeneLife WGS」

同社で現在販売している遺伝子検査キット「Genesis2.0 Plus」が約360項目の解析が可能なのに比べ、WGSは最先端の全ゲノムシーケンシング技術に基づき、国際エキスパートパネルClin Var※1に登録された6130以上の疾患項目の解析に加え、ACMG※2が被験者に結果を開示すべきであると提示した62の疾患項目や、約360の予防・ウェルネス項目といった計6500項目以上の解析が可能という。

Clin Varには例えば、胃がんや大腸がんといったがん疾患や心筋梗塞といった心血管系疾患、筋ジストロフィーといった希少疾患やアルツハイマー病などが含まれる。

また、ACMGには家族性乳がんや卵巣がん症候群といったがん疾患や家族性高コレステロール血症、ファブリー病といった先天性代謝異常症などが含まれる。

同社がこれまでに出している製品ラインアップのうち、Genesis2.0 Plus、DIET、SKIN、SPORTS、Haplo2.0はWGSの検査項目に包括される。Myself2.0については、遺伝子検査に加えて性格分析も踏まえた自己分析遺伝子検査キットのため、すべての内容は含まれないとしている。

  • ジェネシスヘルスケアがこれまで発売してきた遺伝子検査キットのラインアップ

    ジェネシスヘルスケアがこれまで発売してきた遺伝子検査キットと同社から発売している新型コロナウイルスのPCR検査キットのラインアップ

WGSでは、ゲノム解析に加え、ジェネシスヘルスケア独自のAI技術により、疾患と疾患の関係や遺伝子と生活習慣の関係性についても解析結果として提供するという。

例えば、この遺伝子を持つ人はこういった食べ物を食べていると疾患のリスクが高くなるといったアドバイスや、疾患Aのリスクが高く、特定の遺伝子に変異も見られた場合、疾患Bのリスクも高くなるといった疾患と疾患のつながりの解析も行う。ただし、AIによる解析はClin VarやACMGは対象とならず、メタボリックシンドロームといった予防ができる疾患に限るとしている。

検査手順はWeb上で個人情報の登録を行い、唾液を採取して送付する。

  • WGSのキットの中身。手順に沿って検体を採取し、送付する

    WGSのキットの中身。手順に沿って検体を採取し、送付する

  • WGSのキットに含まれている唾液の採取具

    WGSのキットに含まれている唾液の採取具

検査結果は6~8週間後にスマートフォンアプリから確認できるが、Clin VarやACMGといった疾患項目は、オンラインカウンセリングにてジェネシスヘルスケアが提携している医療機関の医療従事者から説明される。

WGSはイルミナの「NovaSeq 6000」を使用し、全ゲノムを30回解析する手法を用いることで、解析品質を担保するという。

GeneLife WGSの販売価格は14万9990円だが、希少疾患などの診断をすでに受けている場合は、検査を受けるための費用の補助を受けられる可能性がある。なお、検査品質を担保するため、毎月500キットの販売に限定するとのことだ。

文中注釈

※1:米国国立生物工学情報センターのヒトゲノムの多様性と関連する疾患のデータベース
※2:米国臨床遺伝・ゲノム学会