北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は7月28日、リチウムイオン電池(LIB)の安定な高容量充放電を、低コストで可能にする新規負極活物質「Si/C/ABG」の開発に成功したことを発表した。
同成果は、JAIST 先端科学技術研究科 物質化学フロンティア研究領域の松見紀佳教授、同・バダム・ラージャシェーカル講師、JAIST ナノマテリアルテクノロジーセンター 東嶺孝一技術専門員、JAIST 先端科学技術研究科 物質化学フロンティア研究領域のラヴィ・ナンダン研究員、同・高森紀行大学院生らの研究チームによるもの。詳細は、英国王立化学会が刊行する材料化学を扱う学術誌「Journal of Materials Chemistry A」に掲載された。
LIBの負極材開発において、高容量の発現の観点から関心を集めているシリコン(Si)は、充放電に伴う体積膨張・収縮制御の困難さに対応するためナノサイズの粒子が広く用いられてきた。
しかし汎用性やコスト性の観点から、マイクロサイズのSiを用いた高容量バッテリーの実現が期待されているという。体積膨張・収縮制御においては、マイクロサイズなため、ナノサイズに比べて困難が伴うが、新たなアプローチによる課題の克服への要求が高まっているという。
そこで研究チームは今回、マイクロサイズSi粒子を適用しつつ、充放電に伴う大きな体積膨張・収縮を抑制するために特殊な材料設計を行うことにしたとする。