韓国SKグループの崔泰源(チェ・テオン)会長は7月26日(米国時間)、ホワイトハウスにて新型コロナウイルス感染症で隔離中のバイデン米大統領とバーチャル会談を実施し、米国で新たに220億ドルを投資する計画を発表した。バイデン大統領は、崔会長の米国投資決定を歓迎し、米国における重要な投資の1つとして謝意を述べたという。

SKグループは、崔泰源氏が会長を兼務する傘下のSK Hynixのメモリ半導体後工程(パッケージングおよび最終テスト)ファブや半導体研究開発施設を建設するなど、半導体や電気自動車バッテリー、グリーンエネルギー、バイオなど4大分野に総額290億ドルを投資することを計画。すでに発表済みの車載バッテリーの合弁工場など70億ドル分を除く新規投資分が220億ドルで、このうち70%の150億ドルが半導体分野の投資となるという。

米国に半導体研究開発(R&D)センターおよびメモリ後工程工場の設立を通じて競争力を引き上げようとするSKグループと、米国内に雇用を創出しようとする米国政府の利害関係が合致したという。半導体工場の場所や具体的な投資規模や時期に関する言及はなかったが、SKグループでは、米国での雇用は2025年には従来の4000人から2万人にまで増えるとしている。

残りの70億ドルについては、先端小型原子炉などグリーンエネルギー分野に50億ドル、細胞・遺伝子治療剤などバイオ分野に20億ドルが投じられる計画。崔氏は「米韓両国の協力を通じて核心技術関連のサプライチェーンを強化できる」と述べている。

SK Hynixは、かつて米国オレゴン州にDRAM前工程工場を有していたが、2008年に閉鎖して以来、米国での半導体工場を所有していない。SKグループで見ると、シリコンウェハ製造(結晶引き上げ・加工)会社SK SiltronがDuPontグループから買収したSiCウェハ製造工場をミシガン州に有しており、8インチSiCファブの拡張工事を進めているという。

そのSK Hynixは7月27日、2022年第2四半期の売上高が、前年同期比34%増、前四半期比14%増の13.81兆ウォンとなったことを発表。四半期別では過去最高の売上高になったという。また、営業利益は前年四半期比56%増、前四半期比47%増の4.19兆ウォン(営業利益率30%)、純利益は2.88兆ウォンとしている。

  • SK Hynixの2022年第2四半期業績

    SK Hynixの2022年第2四半期業績 (出所:SK Hynix)

同社によると、第2四半期にDRAMの価格が下落したが、NANDの価格が上昇し、全体的な販売量が増加したため、売上高が増加したとするほか、米ドルの継続的な上昇とSolidigm(Intelから買収したNANDメモリ事業の継承会社)の売り上げの追加もプラス要因となったとしている。

また、営業利益の伸びについては、主力製品である1A-nm DRAM(10nmクラスの4世代目)と176層3D NANDの歩留まりが向上したことによるものだという。

なお同社では、2022年後半にはメモリ需要が鈍化するとの予測を披露している。背景にはPCやスマートフォンの出荷が当初の予想よりも少なくなることが予想されるほか、データセンター向けサーバメモリの需要も、顧客が在庫の優先的な消費から、減速する可能性があるとしている。ただし、データセンターのメモリ需要そのものは中長期的には着実に増加するともしており、今後の事業計画について、下半期の製品在庫水準を監視しながら、2023年の投資計画を慎重に検討すると述べている。