SOLIZEは7月27日、車両レベルで自動運転性能を評価できる「自動運転シミュレータ」を開発したと発表した。
近年注目が集まる自動運転においては、目標経路や目標車速の算出と、その実行のためのステアリング・アクセル・ブレーキの各操作量を決定する制御アルゴリズムの重要性が高く、乗員の安全性と快適性を両立させる目標生成と、それを忠実に再現する車両制御の両方が求められる。
自動運転の技術開発はすそ野が広がっており、自社の部品やシステムの改善による車両レベルでの自動運転性能向上に関心を寄せる人は多いという。しかし、自動運転の制御アルゴリズムは、従来自動車メーカーや一部のメガサプライヤしか手掛けておらず、誰もが入手できるものではなかったとのことだ。
SOLIZEは今般、車両ダイナミクス分野の技術ノウハウに基づき、自動運転の制御アルゴリズムを自社で開発。交通シナリオ生成・視界表示・車両ダイナミクスモデルと組み合わせることで、自動運転シミュレータの開発に至ったとしている。
同シミュレータは、高性能ワークステーションにより1/1000秒ごとに演算を行い、自動運転で制御された車両の動きを視界やシナリオに反映することで、市街地や高速道路などさまざまな環境での自動運転性能評価が可能だという。さらに、ステアリング・アクセル・ブレーキ各部の運転操作インタフェースも含んでおり、自動運転から手動運転への切り替えに関わる技術開発や効果検証への活用も可能とのことだ。
SOLIZEは今回のシミュレータ開発にあたり、ドライビングシミュレータ分野で実績を持つドイツのVI-GRADEが提供する交通シナリオ生成ソフトウェア「VI-WorldSim」、リアルタイムコンピュータ「AutoHawk」などを採用。同社の技術を活用することで、自動運転制御アルゴリズムを短期間で開発したとしている。
同社は、車両部品のサプライヤが自社部品モデルをシミュレータ内に組み込み、製品の仕様が自動運転性能に及ぼす影響をさまざまなシナリオで評価することが可能なため、車両レベルの結果に基づく開発目標の設定につながり、合理的で納得性の高い判断を可能にするとしている。