世界全体がネットゼロ・カーボン実現に向け行動を起こす中、環境への影響を最小限に抑えることを目指した製品を作ることは、企業にとってESG(環境・社会・ガバナンス)目標の達成、およびビジネスにおいて成果を上げる上で大きな意味を持ちます。

デロイト社は、気候変動に対して真摯に取り組めば、2070年までに米国経済に3兆ドルのプラスが見込まれる一方で、何もアクションを起こさなかった場合は14.5兆ドルの打撃になると予測しています。

一方、世界経済フォーラムは、二酸化炭素排出量の削減に積極的に取り組むことは企業の責任であると同時に、コスト削減、顧客ニーズへの対応、人材確保といった競争優位の源泉になるという強い意志を、いかに企業リーダーが持てるかという点に注目しています。

あらゆる業界の製品やサービスの開発において、データおよびそこから得られるインサイトが重要な役割を果たす中、データの爆発的な増加と、それがデータインフラのリソース消費に与える影響は非常に大きなものがあります。

国際エネルギー機関(IEA)によると、データセンターは世界の電力消費量の約1%を占めていますが、データサービスの需要が急増しているにもかかわらず、エネルギー効率化により電力消費の急激な増加は抑制されています。

データセンターは、企業のサステナビリティ戦略において紛れもなく重要な役割を担っています。そして、データのワークロードが増加するにつれて、データインフラが環境に与える負荷を軽減することが重要になります。将来に向けた持続可能なモデルを構築するためには、大幅な低電力、低冷却、はるかに少ない廃棄物という要件に加え、グローバル規模でデータセンターの温室効果ガス排出量削減に大きく貢献できるよう設計されたデータストレージが必要です。

企業がデジタル変革を進めながら、温室効果ガス排出量を削減するために重要なことは何か。以下は、環境への影響を考慮する企業に向けた4つのアクションです。

(1)マテリアリティ・アセスメントの実施および優先順位づけ

マテリアリティ・アセスメントは、特定のESG課題がステークホルダーにとってどれだけ重要であるかを知らせることを目的とした正式な評価方法で、ステークホルダーの関与とビジネスの成功が重なる重要な優先分野を特定するのに役立ちます。

多くの企業が、サステナビリティ戦略の立ち上げ時、または見直しの一環として、この評価を実施しています。すべてのステークホルダーに素晴らしい結果をもたらすというコミットメントにより企業活動を行う一方で、独自の評価を実施することで、最も大きな影響を与える分野に注力することができます。

(2)フットプリントを縮小させるためのテクノロジーの採用

企業のデータセンターは、信頼性、パフォーマンス、コストなどの面で最適化されていることが多く、効率性についてはあまり考慮されていないのが現状です。

旧来の磁気ディスク技術は、容量を提供する一方で、非効率的な電力使用や電子廃棄物が課題でした。ですがソリッドステート・メディアは、より少ないリソースでのデータセンターの設計および運用、さらにフットプリントの大幅な縮小を実現しています。

(3)サステナビリティを支援する「アズ・ア・サービス」アプローチの開発

真の「アズ・ア・サービス」ソリューションは、成果(すなわちサービス品質保証(SLA))を購入し、第三者にそれを提供させることです。小規模から始め、時間をかけて拡充させ、価格と持続可能性を含む関連KPIについて透明性を確保することができるはずです。

ストレージの場合、コストがかかり破壊的な「リップ・アンド・リプレース」を行わずにテクノロジーのアップデートが可能で、さらに必要に応じて柔軟に対応でき、必要な機器のみを配置するだけで済むようなアーキテクチャが必要です。

(4)サプライチェーンの最適化

エンド・ツー・エンドのサプライチェーンを最適化するためには、リサイクル可能なパッケージへの移行やパッケージの無駄の排除、持続可能なサプライヤーネットワークの選択、品質重視の製造プロセスの採用などに取り組むことが挙げられます。

また、継続的な改善と最適化が必要であり、文書の統合なども含まれます。柔軟性と多様性を備えたサプライチェーンは、急速な成長を促進し、需要の急増に対応することができます。世界中のサプライヤーと協力し、労働者の倫理的待遇や環境に配慮しながら、物理的な課題に対応できるサプライチェーンを構築することがベストプラクティスといえます。

持続可能な社会の実現に向けて企業がどのような取り組みを行っているかを報告することは、組織のパフォーマンスを評価し、将来に向けて改善の機会を検討するために重要な手段です。データセンターは、ESGの取り組みにふさわしいスタート地点です。