Vicorは、OLogicが開発・製造する、モバイルロボット(自走式ロボット)にVicorの電源モジュールが採用されたと7月27日に発表した。

OLogicは、カリフォルニア州サンタクララを拠点に電気・機械設計、生産技術のサポートと、ソフトウェア、ファームウェア技術を提供しており、15年以上に渡り、少量から大量生産まで顧客のロボット生産を補佐してきた。加えて、モバイルロボットの動作範囲、機能、充電容量を決定する際に欠かせない、パワーエレクトロニクスの専門技術が必要な設計検討作業も請け負っており、農業やスマートフォーム、在庫管理など、さまざまな産業分野で多くのロボットの設計を手掛けてきた。

モバイルロボットの電源には、さまざまな電力の電源が必要だという特有の課題があり、ロボットを動かすセンサ、サーボモーター、アクチュエーター、データサーバー、通信システム、その他の機器には、それぞれ異なる電力と電力密度の要件がある。電力を大量に消費するものや、動作頻度の低いものもあり、バッテリーからすばやく正確に給電する、費用対効果が高い電源が求められるという。

OLogicはVicorのZVS降圧レギュレータを導入しており、OLogicのCEOであるTed Larson氏は、「12Vで5Aか10Aが必要だから電源を自作しよう、などと考える必要はもうありません。そう考えることは一切なくなりました」とコメントしている。

また、OLogicは顧客と協働し、電力プロファイルの最適化にも取り組んでおり、Dusty Roboticsもその顧客の1つだ。両社は、新しい建設作業に対応したロボットツールを製造している。

建設業界では、紙に印刷した見取り図を現場に運び、手作業で地面に転写するという作業を行ってきており、巻尺やマーカーを使った作業は時間がかかり、ヒューマンエラーが発生しやすく、スケジュールや予算にも影響するというデメリットがあった。ミスがあった場合に発生する手戻りコストは、Dusty Roboticsによれば、建設コストの1割をも占めるという。

Dusty Roboticsは、図面を床に転写するタスクがプログラムされたロボット「FieldPrinter」を導入することで、従来の手間のかかる工程を省くことに成功。FieldPrinterは、デジタルの図面を読み込み、壁や扉、配管、電気配線などのレイアウトを地面へ転写する作業を人間の約5倍の速さ、16分の1インチ以下の精度で行うことができるという。

  • Dustyのモバイルロボット「FieldPrinte」

    Dusty Roboticsのモバイルロボット「FieldPrinte」(提供:Vicor)

FieldPrinterは、さまざまな気象条件で長時間稼働するバッテリー駆動のモバイルロボットで、センサ、駆動モーター、モーター駆動部品、処理能力が高いプロセッサー、プリンターなど、さまざまな電子デバイスを搭載しており、それらを動作させるためには異なる電圧と電流が必要だという。

Dusty Roboticsはこの課題を解決するため、ロボットの中核の電子機器の構築をOLogicに依頼し、Vicorが、ロボット用のモジュールで構成する電力供給ネットワーク(PDN)を提案した。VicorのZVS降圧レギュレータモジュールは200~300Wで97%の効率を実現しており、コスト効率が高いとしている。