ソフトバンクは7月27日、南海トラフ地震などの災害時を想定して、ドローンの飛行ルートやLTEの電波環境を3次元地図上で事前にシミュレーションし、これに基づいて橋梁の被災状況をドローンで確認する実証実験を、7月13日に和歌山県のすさみ町で実施したと発表した。

今回の実証実験では、同町の防災拠点の1つである防災センターを離着陸場所として、緊急輸送道路上にあるすさみ大橋までの往復約8kmの距離をドローンが自動飛行し、同橋を高精細カメラで撮影して破損の有無などの状況を確認した。

なお、同実証実験では双葉電子工業、amuse oneself(アミューズワンセルフ)、米OneSky Systems、米ANSYSの各社の協力を受けた。

  • 実証実験の流れ

同実証実験では、高精度3次元地図を、アミューズワンセルフが提供するグリーンレーザー技術を使用したドローン向けのレーザー・スキャナである「TDOT 3 GREEN」で3次元測量を行い作成した。これにより、近赤外線では測量が困難だった、雨に濡れた地面や水中の地形(水深数メートル程度)でも、正確な点群データを取得して3次元測量ができたという。

  • TDOT 3 GREENの外観と高精度3次元地図のイメージ

飛行ルートに関しては、OneSky SystemsのUTM(統合脅威管理)を利用して、3次元地図上で飛行ルートをシミュレーションして安全性を確認しルートを決定した。

  • 飛行ルートのシミュレーションのイメージ

従来は、現地調査や複数回のテスト飛行などで詳細を確認して飛行ルートを決定する必要があったが、今回の実証実験で、3次元地図上のシミュレーションでドローンの最適な飛行ルートを決定し安全に自動飛行できることが確認できたという。

また、ドローンによる被災状況の確認について、事前にシミュレーションを行ったことで、発災(想定)から約1時間でドローンを稼働できたほか、稼動から約30分ですさみ大橋の状況を確認できたとのこと。

  • LTE電波環境シミュレーションのイメージ

これにより、現地の目視確認などの危険を伴う作業をドローンが代わりに行うと共に、速やかに被災状況を確認できるとしている。