半導体市場動向調査会社である仏Yole Groupが、「ADAS/車載インフォテインメント用コンピューティングプロセッサ市場」についての調査結果を発表した。

それによると、ADAS/車載インフォテインメント(IVI)用コンピューティングプロセッサは、2021年には40億ドルだったが、ADAS、キャビン内センシング、およびインフォテインメントの発展がコンピューティングプロセッサ需要を支えて、2027年に118億ドルに達すると予想している。

これら車載プロセッサ市場に参入しているメーカーとしては、伝統的な車載MCUプロバイダとしては、Infineon Technologies、NXP Semiconductors、STMicroelectronics、ルネサス エレクトロニクス、Texas Instruments(TI)が挙げられるほか、モバイルおよびインフォテインメントプロセッサプロバイダとしては、QualcommやMediaTekのほか、HuaweiやSamsung Electronicsなども参戦している。IntelやNVIDIAは、サーバプロセッサを供給しているほか、Teslaは、独自の専用プロセッサを設計して海外ファウンドリに製造委託している。ビジョンプロセッサプロバイダとしてはXilinx(現AMD)、TI、東芝、米Ambarella、イスラエルMobileyeなどが挙げられる。このほか、多くのスタートアップもAIを活用したプロセッサを武器に新規参入してきている。

  • ADAS/IVI用のさまざまなプロセッサとそのサプライヤ

    ADAS/IVI用のさまざまなプロセッサとそのサプライヤ。コンピューティングの性能、汎用・専用、設置個所にしたがって図示 (出所:Yole Group)

Yoleの予測によると、2021年に3億ドル規模だったADAS/IVI用セントラルコンピューティングプロセッサは、年平均成長率(CAGR)40%ほどで推移し、2027年には22億ドルに達するという。また画像処理用プロセッサは、2021年に20億ドル規模だったがCAGR14%で成長し、2027年には42億ドルに達するとしている。レーダーやLiDAR用プロセッサは、それぞれCAGR25%および94%で成長すると予想しているほか、インフォテインメント用プロセッサは、2021年に13億ドルであったのがCAGR12%で成長し、2027年には25億ドルに達するとしている。

  • ADAS/IVI用コンピューティングプロセッサ市場をアプリケーション別でみた2021年と2027年の市場規模予測

    ADAS/IVI用コンピューティングプロセッサ市場をアプリケーション別でみた2021年と2027年の市場規模予測 (出所:Yole Group)

また、ADASおよびインフォテインメント向けプロセッサは、これらのシステムの普及率の高まりだけでなく、集中化の傾向によっても促進された成長が期待されるとしているほか、平均販売価格の上昇も売上高を押し上げる要因になっているとする。さらにAIは付加価値を高めるものとなっており、ADAS機能の向上に向け、ますます多くのAIユニットが必要になることから、Yoleでは、この市場セグメントは2027年に11億ドルに達すると予想している。

なお、自動運転に欠かせないのがさまざまなセンサなどで生成される複数のデータを融合し、より有用な情報を生成するデータ融合であり、自動運転の高度化にはさらなる高機能化が求められることとなるため、2030年には現在のものよりもその機能やデータの種類などが複雑・高度化するものとYoleでは予想している。

  • 自動運転のためのデータ融合の状況の2020年と2030年の比較

    自動運転のためのデータ融合の状況の2020年と2030年の比較 (出所:Yole Group)