キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は7月25日、農林中央金庫(農林中金)と共同で、JAバンクにおける預貯金等照会業務のデジタル化を支援する「公的照会BPO(Business Process Outsourcing)・OCR(Optical Character Recognition)サービス」を構築したと明らかにした。これにより、JAバンクは行政機関からのデジタルデータでの照会に加え、従来の書面の問い合わせ業務をセンターの集約化で対応することにより業務効率化とスピーディな対応が可能な業務プロセスの変革を実現したという。

  • 公的照会BPO・OCRサービスの概要

    公的照会BPO・OCRサービスの概要

社会保障や税の公平性担保のため、行政機関から銀行や生命保険会社などの金融機関に対し実施される預貯金などの取引情報の調査は、年間約6000万件にものぼり、行政機関からの照会方法は書面(紙文書)での調査から電子データへの移行が進む過渡期ではあるものの、依然書面での照会依頼が多くを占めていると同社は指摘。

そのため、書面調査の場合には郵送作業や紙の保管などの負荷に加え、煩雑な業務フローも金融機関の課題となっていた。JAバンクでは、行政機関から年間約300万件の預貯金等照会を受けており、全国のJA店舗ごとに照会業務の対応を行っていた。

郵送される依頼書の書式は行政機関ごとに異なるため、1件ごとに目視での確認・検索・回答処理を実施しており、ノンコア業務である預貯金等照会対応に多大な時間とコストが要し、各JA店舗の業務負荷軽減のため書面調査における業務フローの再構築が急務となっていたという。

こうした状況下において、JAバンクの全国機関である農林中金は、預貯金等照会業務のデジタル化に向けた体制構築と業務フローの見直しを進め、デジタルデータでの照会整備に加え、書面での受付業務を集中処理センターに集約する運用体制を構築。

今回、キヤノンMJが提供する公的照会BPO・OCRサービスは、集中処理センターで地方自治体などの行政機関からの書面による照会に対し、OCRシステムを活用して照会データを作成する。

そして、JAバンクの基幹システムと連携するデータベースに照会後、回答書を作成・郵送するBPOサービス。これにより、JAバンクは早期に業務フローの変更とシステム化が可能になり、これまで預貯金等照会業務の調査・回答に要していた時間とコストの削減を実現するという。

また、独自の非定型OCR技術で行政機関ごとに異なる書式の照会依頼書にも対応が可能なため、照会依頼書全体の約80%に対するOCRシステムの活用を見込み、通常の手入力による作業と比較して照会データ作成にかかる作業時間を短縮することを可能としている。

今後、キヤノンMJでは金融機関を中心に新たなサービス・ソリューションを展開し、デジタルドキュメントサービスおよびITO(ITアウトソーシング)・BPOサービス事業を拡大していくことで、2025年に同事業の売上高として320億円を計画している。