2022年のHot Chips 34(HC34)は8月21日(日)から8月23日にかけてバーチャル開催で行われる。主催者側は研究者やエンジニアが対面で集まるミーティングをやりたかったのであるが、健康的な安全を担保できないので、オフラインでの開催は断念したとのことである。

通常、対面のミーティングの場合は毎日の昼食と一日はディナーも提供されるが、バーチャルミーティングではこのようなサービスは無く論文集のバーチャル提供だけなので、IEEEやACMの会員の参加費(早期登録の場合)は100ドル、非会員でも125ドルとなっている。

主催者側は、リアルミーティングの復活に努力する一方、バーチャルミーティングの今後の開催も継続するとの意向である。

今年もHot Chipsは盛りだくさんで、IntelのPonte Vecchio GPU、NVIDIAのHopper GPU、TeslaのDOJO(道場)などが発表される。また、Cerebrasのウェハレベルの巨大チップのAIエンジンもDeep Diveで詳細が発表されるようである。

Hot Chips34は例年通り、初日はチュートリアルである。午前中は次世代のPCIeとも言われるCXLのチュートリアルが行われる。午後はマルチレベルの部品を組み合わせてコンパイラを作るMLIRのチュートリアルで、ドメインスペシフィックなコンパイラを容易に作れるようにしようという話である。

Session 1 GPU & HPC

  • 1. NVIDIA's Hopper GPU: Scaling Performance
  • 2. AMD Instinct MI200 Series Accelerator and Node Architectures
  • 3. Intel's Ponte Vecchio GPU: Architecture, System and Software
  • 4. Biren BR100 GPGPU: Accelerating Datacenter Scale AI Computing

Hot Chips 34の最初のセッションはGPUs & HPCのセッションで、その中の最初の発表はNVIDIAのHopper GPUの発表である。2番目の発表はAMD Instinct MI200 Series GPUの発表である。AMDのMI200 シリーズは電力効率が高く、何が効いているのか注目すべき発表である。3番目の発表はIntelのPonte Vecchio GPUの発表である。NVIDIA、AMD、IntelとハイエンドGPUのトップランナーが顔を揃える興味深いセッションである。

GPUs & HPCのセッションの最後の発表はBiren Technologyという上海の会社のAI処理もカバーするGPGPUの発表である。同社のBR100は7nmの半導体プロセスで製造される独自アーキテクチャのGPUで、性能的には米国のトップレベルのGPUに対抗できるとのことである。しかし、詳細は明らかにされておらず、Hot Chipsでの発表が待たれる。同社によればBR100 GPUのテストや立ち上げは順調に進んでいるとのことであるという。

Session 2 Integration Technologies

  • 1. Passage—A Wafer-Scale, Programmable Photonic Communication Substrate
  • 2. Heterogenous Integration Enables FPGA Based Hardware Acceleration for RF Applications
  • 3. Enabling scalable application-specific optical engines (ASOE) by monolithic integration of photonics and electronics
  • 4. Scaling of Memory Performance and Capacity with CXL Memory Expander

最初の発表ではLightmatter社がウェハレベルの光接続サブストレートを発表する。高バンド幅のチップが増えているので光接続サブストレートは役に立ちそうである。

2番目は、Intelがヘテロジニアスな集積でRFアプリケーションを加速するという論文を発表する。

3番目の論文はフォトニクスとエレクトロニクスの部品をモノリシックに集積して光処理のエンジンを作るというものである。

このセッションの最後の発表は、Samsungの論文でCXLのメモリ拡張チップに関する論文である。Samsungからこのような実用性の高いチップが出てくると実用化は目前と言う感じがする。

基調講演 1

その次はIntelのCEOのPat Gelsinger氏が登壇してSemiconductors Run the Worldというタイトルの基調講演を行う。半導体不足で、自動車や家電が作れない現状を見れば、この指摘は良く分かるが、Gelsinger氏はどのような未来を示すのかに注目する必要があろう。