島津製作所は、九州大学とメタボローム解析サービスなどを手掛けるヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)が共同で取り組む「働く人の心の健康を維持するための仕組みづくり~うつ/うつ症状の予防~復職支援等~」に参画し、血液検査によるうつ病の診断補助技術の実証実験を行うと7月13日に発表した。

九州大学病院気分障害ひきこもり外来は、生物・心理・社会的な理解に基づく社会的ひきこもりや心の病気の治療法開発を進めており、2016年には九州大学病院検査部と連携して、「血中代謝物バイオマーカーを用いたうつ病の重症度を診断する手法」を確立している。

島津製作所は2020年に九州大学病院気分障害ひきこもり外来を主宰する九州大学 大学院医学研究院 精神病態医学分野の加藤隆弘 准教授の研究グループとの研究で、うつ病診断補助の手法を開発。現在、両者は「問診による被験者のストレス感受性の強弱に依存するグルーピング」と「高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)により得られる血液中バイオマーカー」を組み合わせた、高精度ストレススクリーニングモデルの開発を進めてるという。

「働く人の心の健康を維持するための仕組みづくり~うつ/うつ症状の予防~復職支援等~」では、これら検査手法を社会実装するために、企業における健診などで共同事業実証に取り組む予定だとしている。

すでに島津製作所と加藤准教授らの研究グループは、福岡市のモデル企業の社員100名を対象とした実証研究を始めており、健診センターなどと連携し、企業における社員のメンタルヘルスの不調を早期に発見できる体制を作る計画だ。

同社ではさらに、検査サービスパッケージを確立し、従業員検診や人間ドック向けの検査モデルの構築や、組織マネジメントコンサルテーションと組み合わせた検査の社会実装を目指していくとしている。

  • 加藤隆弘准教授(左)と九州大学病院検査部の瀬戸山大樹助教(右)および研究で使用する高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)

    加藤隆弘准教授(左)と九州大学病院検査部の瀬戸山大樹助教(右)および研究で使用する高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)(出典:島津製作所)