リスクモンスターは7月22日、第1回「DX認定企業」分析結果を発表した。同調査は、経済産業省が推進するDX認定制度において、2022年6月時点のDX認定事業者(法人)415社の状況をまとめたもの。

DX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づく認定制度。デジタル技術による社会変革を踏まえた対応指針が記された「デジタルガバナンス・コード」に沿って、経営ビジョンの策定やDX戦略・体制の整備を行い、DX推進の準備が整っている(DX-Readyの状態)事業者を経済産業省が認定しているもの。

認定にあたっては、DX推進の「準備や前提の部分」がDX認定基準となっており、現時点でDX推進による成果が出ている必要はないという。

DX推進の「準備や前提の部分」は、「経営者自身のリーダーシップの下で、DXによる自社変革の方向性や具体的戦略が示され、戦略の推進・管理が行える」準備状況を指しており、このような準備状況を対外的に公表できていることがDX認定のポイントとなるとのことだ。

同社によると、DX認定は、「企業のDX戦略」のアピールに活用できるほか、経済産業省と東京証券取引所が連携して取り組んでいる「DX銘柄」及び「DXグランプリ」、「DX注目企業」の選定条件となっていることから、ディスクロージャーを重視する上場企業を中心に認定が進んでいるという。

3カ月毎のDX認定を受けた事業者数の推移としては、2021年と2022年のいずれも「4月~6月」の認定が多くなっている。制度初年の「2021年4月~6月」は、「DX銘柄2021」のエントリーに合わせてDX認定を申請した上場企業が多く、プライム市場を中心とした上場企業がDX認定事業者の大多数を占めている。

一方で、直近の「2022年4月~6月」は、非上場企業の認定が過半数を占め、認定事業者数としても四半期別で過去最多の116社となっている。DX認定制度が開始してから、国内最上位のプライム市場に上場する企業が続々とDX認定を取得する中で、「DX認定企業=上場企業/優良企業」というイメージが浸透した結果、企業のブランド価値や信用力の向上につなげるためにDX認定取得を試みる企業が増加しているのではないかと同社は分析している。

業種構成としては、「製造業」(95社)が最も多く、これに「情報通信業」(85社)、「卸売業、小売業」(65社)と続いている。2022年6月時点においては、デジタル技術と親和性の高い「情報通信業」よりも「製造業」のほうが、DX認定事業者が多い結果となっている。

上場市場別の業種構成としては、プライム上場の「製造業」(78社)が最も多く、プライム上場の「情報通信業」(35社)や「卸売業、小売業」(38社)の2倍超となっている。一方で、非上場企業においては、「情報通信業」(38社)が最も多く、「卸売業、小売業」(24社)、「金融業、保険業」(20社)の順となり、「製造業」(15社)は非上場の上位3業種に入っていない。

「製造業」の上場企業の認定が多い点について、同社は、製造業の慢性的課題である「人手不足」、「俗人的改善による部分最適」(『2021年版 ものづくり白書』経済産業省より)や世界情勢の変化を背景とした先行き不透明な事業環境に対する危機感があり、DXの取り組みを進め、競争力の強化を図ろうとしていることがうかがえると指摘している。

  • DX認定事業者の業種構成 資料:リスクモンスター