宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月21日、都内で会見を開き、2022年9月以降に宇宙船「クルードラゴン」で宇宙に向かい、国際宇宙ステーション(ISS)に約6か月間滞在する予定の若田光一 宇宙飛行士が、今回のミッションに対する意気込みなどを語った。

日本人初の宇宙飛行士の飛行から30年

今回の長期滞在で日本人宇宙飛行士最多の5回目となる若田宇宙飛行士。野口聡一宇宙飛行士、星出彰彦宇宙飛行士に続く、クルードラゴンでのISSへの長期滞在について「日本が長年培ってきた有人宇宙技術分野での信頼の証であり、国際協力の象徴の証でもあると思っている」と説明。そうした日本の有人宇宙技術の象徴の1つであるISSの日本実験棟「きぼう」であり、そのきぼうについては「2009年に船外実験プラットフォームが取り付けられて、それから13年間。きぼうの完成からさまざまな利用成果、運用成果が創出されてきているほか、利用の面でも民間の利用がかなり広がっている。きぼうについては、人材育成の観点から、超小型衛星放出というミッションは、日本のみならず、世界各国の人材育成に貢献しており、これまでの約50か国、合計で300機ほどがきぼうから放出されている。これは、世界中の国々の1/4以上の国がきぼうを利用しているという事が言えると思う」とし、日本のみならず、世界各国からもなくてはならない存在になっていると感じていることを語り、その活用方法も多岐におよんでいることを強調した。

  • JAXAの若田光一 宇宙飛行士

    JAXAの若田光一 宇宙飛行士。手に持っているのは、JAXAによる今回のミッションロゴ

また、ISSの存在については有人月探査計画である「アルテミス計画」に向けた「月、火星探査に向けた重要な技術実証の場」であるとし、そうした点にも留意して、長期滞在に臨みたいと語った。

2022年は、毛利衛宇宙飛行士が日本人宇宙飛行士として初めて宇宙を飛行してから30年目を迎える。毛利宇宙飛行士を皮切りに、これまでに多くの日本人宇宙飛行士が宇宙で活動をしてきた歴史を踏まえ、若田宇宙飛行士は「野口宇宙飛行士、星出宇宙飛行士に続いて、今回のミッションを成功させて、2023年にISSで長期滞在予定となっている古川聡宇宙飛行士につなげていきたいと思っている」と、バトンをつないでいく意思を掲げ、その思いは、現在、JAXAが進めている月探査を踏まえた宇宙飛行士で選抜された若い世代にもつながっていけるようなミッションにしたいと抱負を語ってくれた。

さらに、コロナ禍ということで、感染対策に気を使って訓練を行ってきたというが、これから打ち上げまでの期間は、なおのこと感染対策をきっちりと行ったうえで、万全な体制でミッションに臨みたいとも語っており、応援してくれる人たちに向けて、「多くの皆さんにこれまでも支えていただきましたけれども、これから打ち上げに向けて、さらに半年間にわたる長期滞在に向けて、多くの皆さんの応援をいただけたらなという風に思っております」と、メッセージを送った。