7月20日から22日にかけて東京ビッグサイトで開催されているエンジニア向け展示会「TECHNO-FRONTIER(テクノフロンティア) 2022」で、Analog Devices(ADI)の日本法人であるアナログ・デバイセズは1kmの伝送距離を実現するイーサネット規格「10BASE-T1L」に対応したPHYといった産業用ネットワークに向けたチップや、モータの予知保全ができるスマートモータセンサといった製品を紹介している。

10BASE-T1LイーサネットPHYやIO-Link対応製品などを展示

2019年に新たに承認された産業用イーサネット・プロトコルIEEE802.3cgに基づいた10BASE-T1L。10BASE-T1Lは最大1kmという長距離伝送が可能な点が特徴だ。

会場ではADIの10BASE-T1LイーサネットPHY「ADIN1100」による700m超を伝送するデモを見ることができる。同社の10BASE-T1LイーサネットPHYは小型かつ低消費電力が特徴だという。

  • ADI展示ブースの裏に設置された700m超のケーブル

    ADI展示ブースの裏に設置された700m超のケーブル

  • 10BASE-T1LイーサネットPHY「ADIN1100」

    10BASE-T1LイーサネットPHY「ADIN1100」

また、大電流を必要とするIO-Link向けに、低消費電力でコンパクトな点が特徴なIO-Link対応製品やソフトウェアIO、デジタルIOといった産業用通信ネットワーク製品を紹介している。

セキュア認証用ICで純正品の認証などが可能に

ADIは、エンベデッドセキュリティ技術としてセキュア認証用ICの紹介も行っている。この技術は同社が2021年8月に買収を完了したMaxim Integratedが開発したもの。

  • DeepCover I<sup>2</sup>CセキュアSHA-3認証用IC「DS28C50」(左)とDeepCover セキュアSHA-3コプロセッサ「DS2477」(右)

    DeepCover I2CセキュアSHA-3認証用IC「DS28C50」(左)とDeepCover セキュアSHA-3コプロセッサ「DS2477」(右)

認証用ICは、医療用カテーテルなどの使用回数カウンタとしてや、認証用ICを本体とカートリッジそれぞれに親機と子機という形で組み込み、純正品の認証に用いたり、信頼性の高い通信に使用されるという。

簡単な設置でモータの健康状態が可視化できるソリューション

「ADI OtoSenseスマートモータセンサ(SMS)」はAIを活用したモータの予知保全ソリューション。

  • ADI OtoSenseスマートモータセンサを設置したモータ

    ADI OtoSenseスマートモータセンサを設置したモータ。設置が簡単なところもメリットだという。マクニカがOEMソリューションとして展開しているため、外観がマクニカ仕様となっている

各種センサなどをパッケージングしたデバイスをモータに設置してデータを収集する。データはAIによって解析され、「電源システム」「固定子巻線」「回転子」「機械的なゆるみ」「モータシャフトバランス」「冷却システム」「アライメント」「ベアリング」「偏心」といった9つの異常を検知する。

検知結果は、スマートフォンアプリやWebブラウザのダッシュボードから確認できる。異常の度合いは1から10の数値で示されるため、緊急停止が起こる前の段階でメンテナンス計画を立てることができる。また、故障の位置も図によって知らせ、アドバイスも表示される。

  • 健康状態は0~10の数値で緑、黄色、赤で深刻度が示される

    健康状態は0~10の数値で緑、黄色、赤で深刻度が示される

  • 故障個所が図で示される

    故障個所が図で示される

SMSによってモータの監視や状態解析が全自動化されるため、人的なコストが削減できる点もメリットだ。

利用料金は、導入の初年度はデバイス料金とクラウド利用料で1000ドル、2年目以降はクラウド利用料のみで500ドルだという。

同社の展示ブースでは、ほかにも電源ICノイズを低減する「Silent Switcher」などの製品を展示している。