三井住友海上火災保険(三井住友海上)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月20日、新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指すために2018年5月から開始した「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」の枠組みのもと、2022年7月より「宇宙旅行保険事業」に関する共創活動を開始したことを発表した。
「宇宙旅行元年」とも言われる2021年は人類史上初めて、宇宙に行った一般民間人の数が職業宇宙飛行士の数を上回るなど、近年、急速に宇宙旅行ビジネスが立ち上がりつつある。
しかし、宇宙旅行は一歩間違えれば、命に関わる事故が起きる可能性があるリスクが、ほかの旅行に比べまだまだ高いことに加え、宇宙旅行者の数そのものは少ないため、宇宙旅行を目的とした保険の本格的な運用はなされていない。近い将来、打ち上げ技術の進歩とそれに伴う打ち上げコストの低減が進めば、宇宙旅行が当たり前となる時代が到来することが期待され、併せて保険の存在が求められるようになると考えられている。
そうした背景のもと、三井住友海上とJAXAは今後、「宇宙旅行保険の商品開発」および「宇宙旅行マーケット拡大支援」に関する共創活動を進め、必要とされる「宇宙旅行保険」を創出・普及させることで、宇宙旅行に安心を加え、人類の経済圏の拡大に貢献するとしている。
すでに現時点の宇宙旅行でも、高度約100kmの(ここから上空が宇宙と一般的に言われる)「カーマンライン」を目指す小旅行、地球を数日にわたって周回する旅行、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する滞在型旅行など、さまざまな種類がある。今回の取り組みでは、それらの実現を目指す事業者とともに、それぞれのニーズおよびリスクを踏まえた最適な宇宙旅行保険の開発に関する共創活動を行うとしている。
また、宇宙港や有人宇宙機の開発企業、旅行代理店を始めとする宇宙旅行関連事業に参画する企業との連携により、すべての人が気軽に安心して宇宙に行ける時代に必要なマーケットの拡大を支援し、貢献していくともしている。