パーソルキャリアが運営するアパレル・ファッション業界専門の転職支援サービス「クリーデンス」は7月21日、2021年1月~12月の間に同サービスに登録したビジネスパーソンのデータをもとに算出したアパレル・ファッション業界の「平均年間賞与額」の最新版を発表した。
2021年1月~12月までに「クリーデンス」に登録した人の平均年間賞与額は、60.5万円だったという。2020年のデータでは60.7万円だったことからほぼ横ばいで推移していると言えるものの、年代別でみると、若手層とベテラン層の平均年間賞与額が増加傾向にあるという。
同社は、2021年は企業が採用を徐々に再開した一方で未経験や経験の浅い層の採用は控える企業が多く、若手層でも、マネジメントやECサイト、SNSの運用といった経験やスキルを持つ人材が企業から求められたことから、比較的年収が高いマネジメントやデジタルスキルを持つ登録者が増加したことが、20代の平均年間賞与額を引き上げる要因になったとの見解を示している。
一方で、50代以上の平均年間賞与額が上がった背景には、「MD・バイヤー」「営業・店舗開発」で経験・知識そして人脈が豊富なベテラン人材を求める企業が増加したことが挙げられている。 購買行動の多様化によるEC化率の向上や長らく続いたまん延防止等重点措置などにより、商品開発や販売計画を練る「MD(マーチャンダイザー)」は、状況の変化に柔軟に対応して、適切な販売計画を練る必要性がより高まり、経験豊富で適切な計画立案ができる人材を求める企業が増加しているのだという。その結果、今まで転職活動を行ってこなかったベテラン層も転職を視野にいれるようになり、賞与額が増加したと推測されるとのことだ。
職種別では、9職種中5職種の平均年間賞与額が増加しており、これらの職種が増加した背景には、企業の経営戦略において重要な役割を担っていること、業績を立て直す重要なポジションであるため評価が賞与額に反映されやすかったことがあるという。
中でも「マーケティング」は、前年比で約10万円増加しており、この背景には、EC事業の拡大に注力する企業が増加したこと挙げられている。 購買行動などのデータを活用・分析し戦略を立てるデジタルマーケティングや、SNSなどのコンテンツを活用したデジタルコミュニケーション、さらに、顧客体験の向上・売り上げの拡大を目的に、オンラインとオフラインをつなぐOMO戦略の立案といった専門性が高いポジションでのニーズの高まりに対して、経験やノウハウを持つ人材は希少であるため、給与水準を上げ採用を行う企業が増加し、平均年間賞与額を引き上げたと言えるという。
同社は2022年の傾向について、引き続き「デジタル」「マーケティング」に関わるポジションでは、業界内外問わず専門性の高い人材を求める動きが見られるとの見方を示している。