米Slackは7月19日(現地時間)、Future Forumによる調査「リモートでの従業員体験レポート」の最新版を発表した。今回の調査結果では、オフィスでのフルタイム勤務を望むグローバルのナレッジワーカーが20%とこの2年間の調査で最も低くなり、ハイブリッドやフルタイムリモート勤務者と比べて、従業員経験スコアが低くなっていることが判明したという。なお、同調査は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、オーストラリアのナレッジワーカー(知識労働者)1万人以上を対象に実施した。

日本では、グローバル平均と比較して、多くの回答者がフルタイムでオフィス勤務に復帰しているほか、今後1年以内に他社に就職する可能性が非常に高いと答えた労働者は、世界平均に比べて低い結果となった。

  • 日本とグローバルを比較したグラフ

    日本とグローバルを比較したグラフ

一方、グローバルではナレッジワーカーの80%が働く場所の柔軟性を求めており、そのうちの過半数(53%)がオフィスでのフルタイム勤務を希望していることに加え、94%の社員が働く時間に柔軟性を求め、57%以上の社員が「決められたスケジュールを調整する能力がほとんどない」と回答している。

また、55%の従業員が「今後1年間に新しい仕事を探すことに前向き」と回答し、柔軟性に不満があると答えた従業員のうち、70%が新しい機会を探すと回答。スケジュールの柔軟性の欠如は、従業員の経験スコアに大きく影響し、スケジュールの柔軟性がある回答者に比べて、そうでないナレッジワーカーは仕事上のストレスや不安が3.4倍悪化し、ワークライフバランスが2.2倍低下しているという。

柔軟性のある働き方は、包括的なワークプレイスを構築するための重要な要素となっており、過去2年間で多様性、公平性、インクルージョンは経営者にとって優先事項だったものの、将来のワークプランニングと職場の帰属意識の向上は両立させなければならないと指摘。

さらに、ワーキングマザーの83%が働く場所の柔軟性を求めるなど、子どもを持つ従業員にとって、勤務場所は引き続き重要な要素となり、週3~5日のフレックス勤務を希望する子育て中の従業員の割合は子どもをもつ女性従業員の60%(2月時点の58%から上昇)、子どもをもつ男性従業員の50%(2月時点の48%から上昇)となった。

  • 週3~5日のフレックス勤務を希望する子育て中の従業員(母、父)の割合を示すグラフ

    週3~5日のフレックス勤務を希望する子育て中の従業員(母、父)の割合を示すグラフ

加えて、オフィススペースの主な目的は変わりつつあり、従業員の3分の2(66%)は、物理的なスペースにアクセスできるハイブリッドな勤務形態を好むと回答。オフィスに来る理由について、従業員の74%は同僚や顧客とのコラボレーション、仲間作り、対面でのミーティング、16%が仕事に集中するための静かな空間、10%が経営陣と顔を合わせる時間と続く。

前回までの調査結果と同じように、テクノロジーを率先して採用している企業の従業員は、そうでない従業員と比較して、すべての回答で高い従業員体験スコアを示している。一例として、生産性のスコアは1.5倍、帰属意識のスコアは2倍、総合的な満足度は2.5倍それぞれ高い結果となった。