働き方改革プラットフォームTeamSpiritシリーズを展開するチームスピリットは7月20日、ビジネスパーソンのウェルビーイング(自分らしく幸せに感じられる状態)に関する実態調査の結果を公表するとして、記者説明会を開催した。同調査には、全国のITまたはコンサルティング業に勤める20歳から59歳の、部下を持たない一般社員800名が参加した。
政府は骨太の方針2022の中で、重点投資分野の一つに「人への投資」を掲げている。こうした中で多くの企業が人的資本経営や従業員のウェルビーイングに注目を集めている背景を受けて、同社はビジネスパーソンの働き方における志向性や上司との理想の関係性についての考え方を明らかにすることを目的として、今回の調査を実施したとのことだ。
調査の結果、現在勤めている会社に対する満足度に関して「満足している」または「どちらかと言えば満足している」と回答した人の割合は55.5%で全体の半数を超えた。一方で、「満足していない」「どちらかと言えば満足していない」との回答は19.0%だ。世代別に見ると、Z世代(26歳以下)の満足度は61.6%と全体平均よりも6.1%高い結果となった。
「満足している」「どちらかと言えば満足している」と回答した444人にその理由を聞くと、「働きやすい環境が整備されていること」の回答が62.6%で1位となり、「ワークライフバランスが保たれていること」(50.9%)、「心地の良い人間関係があること」(33.6%)とする回答が続いた。働く際の環境面に加えて、心理的または社会的に良好であることが会社への満足度につながっているようだ。
反対に、「満足していない」「どちらかと言えば満足していない」と回答した152人はその理由について、「給与・待遇が良くない」(65.1%)を1位に挙げたという。「働きやすい環境が整備されていない」(31.6%)が2位、「ウェルビーイングな状態にない」(25.0%)が3位という結果に。金銭面や環境面だけでなく、ウェルビーイングな状態にないことが企業に対する不満足につながっていることが明らかになった。
企業規模別に結果を見ると、会社に対して満足していない人のうち、「ウェルビーイングな状態にない」を挙げた人の割合は、中小企業(従業員299人以下)が15.4%と最も低く、中堅企業(従業員300~999人)は35.1%、大企業(従業員1000人以上)が30.0%だった。
調査に参加した800人に「総合的に見て、現在の自分にとって良いと思える会社で働いているか」を聞くと、55.9%が「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答し、2人に1人以上が自分にとって良いと思える会社で働いていることが明らかになった。一方で、「そう思わない」「どちらかと言えばそう思わない」と回答した人は全体で13.1%だ。
企業規模別に見ると、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」とする回答は、中小企業が50.2%、中堅企業が53.9%、大企業が62.7%と、所属先の企業規模が大きい人ほど現在の自分にとって良いと思える会社で働いている傾向が見られたとのことだ。
会社もしくは部署における上司との1on1ミーティング(個人面談)の頻度について聞くと、「半年に1~3回ほど」との回答が全体の41.5%と最多であり、「月に1回以上」と回答した人(19.9%)と合わせると、1on1ミーティングが少なくとも半年に1回以上実施されているという回答が全体の61.4%となり、1年に1回以上実施されているという回答は75.4%になった。
また、上記の「総合的に見て、現在の自分にとって良いと思える会社で働いているか」の質問に対して「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答した55.9%の人のうち、69.3%が「半年に1~3回程」または「月に1回以上」と回答していた。
一方で、「そう思わない」「どちらかと言えばそう思わない」と回答した13.1%の人のうち、39.0%が「ほとんど、もしくは全く上司との1on1ミーティングが行われていない」と回答していたという。現在勤めている会社に納得感を持って働いている人ほど、1on1ミーティングが実施されていることがうかがえる結果となった。
この結果を世代別に見ると、「月に1回以上行われている」と回答した人の割合はZ世代が33.7%で全体平均よりも13.8%高かった。一方で、「ほとんど、もしくは、全く行われていない」と回答した人の割合は、X世代(43~59歳)が28.6%と全体平均よりも4.0%高い結果となった。世代によって1on1ミーティングを受けている頻度に差が見られた。
「年に1回以上1on1ミーティングが行われている」と回答した603名に対して、ミーティング実施時における勤務状況のデータ(勤務時間、業務工数、業務効率、有給取得数など)の活用の状況を聞くと、50.9%の人が「十分活用されている」もしくは「一部活用されている」と回答した。
また、「総合的に見て、現在の自分にとって良いと思える会社で働いているか」に対し、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答した人のうち、59.0%が1on1ミーティングに勤務状況のデータが「十分活用されている」「一部活用されている」と回答した。
一方で、「総合的に見て、現在の自分にとって良いと思える会社で働いているか」に対して「そう思わない」「どちらかと言えばそう思わない」と回答した人のうち、50.0%が1on1ミーティングに勤務状況のデータが「活用されていない」と回答した。
これらの結果から、自分にとって良い会社で働いていると思っている人ほど上司との1on1ミーティングが実施されており、さらに、勤務状況のデータに基づいた対話が行われている傾向が見られた。
ウェルビーイングに働くために上司の行動や姿勢で役立つものについて聞くと、1位は「部下とコミュニケーションを図り、メンバーの声に傾聴してくれること」(32.3%)となった。「部下が達成したい目標を達成するようサポ―トしてくれること」(25.8%)が2位、「前向きであること」(24.4%)が3位に。
従業員のウェルビーイングの向上には、上司のメンバーの意見を聞く傾聴、目標達成へのサポート、前向きな姿勢の3点が寄与していると思われる。同社は、「部下の成功と幸せに関心を持ってくれること」(22.3%)が4位に挙げられたことから、一人一人の成功と幸せについて上司が関心を持ち向き合うことで、ウェルビーイング向上につながるのではないかと考察している。
チームスピリットのコーポレートコミュニケーションチーム・マネージャーである荻島将平氏は、今回の調査結果を受け、同社サービスについて「人的資本経営・従業員ウェルビーイング向上のためのサービス」としての価値提供を目指すと述べていた。
同社が手掛ける働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」は、勤怠管理や就業管理などの従業員が必ず行わなければいけないデータ入力作業を効率化して、有益と思われるデータを自動で取得可能なSaaS(Software as a Service)サービスだ。一例として、勤怠データと工数データを掛け合わせて働いた時間の内訳を従業員の活動情報として取得するような使い方ができる。
同サービスは今後、非財務な人的情報を投資家向けに可視化する人事マスタ的なサービスとして提供するのではなく、データ入力のしやすさを提供して生産性の向上に寄与するとともに、社員が必ず入力しなければならない情報に基づいた定量的なアウトプットの提供に資するとしている。
荻島氏は同社の今後のサービス方針について「マネージャーとメンバーの絆を強くする架け橋になりたい」とコメントしていた。