7月20日から22日にかけて東京ビッグサイトで開催されている「TECHNO-FRONTIER(テクノフロンティア) 2022」で、ASPINAは、同社のモータを搭載した自律走行搬送ロボット(AMR)の新製品や、製造機械のスロー映像と音声波形を同時記録するハイスピードカメラなど、ファクトリーオートメーション(FA)に貢献する製品の展示を行っている。

  • テクノフロンティア2022のASPINAブース

    テクノフロンティア2022のASPINAブース

製造現場の運搬を自動化するAMRを量産へ

ASPINAは、主に製造現場や家電の領域で培われた同社のモータ技術を活用し、FAなどに貢献する技術や製品の開発を行っており、今回の出展ブースでは、ホイール内にモータを内蔵した薄型インホイールモータも展示している。

  • ASPINAブースのモータ展示の様子

    ASPINAブースのモータ展示の様子

さらに同社のインホイールモータを内蔵した新製品として、製造現場向けの自動搬送ロボット「AspinaAMR」も展示。同ロボットは自律走行が可能で、手動操作による走行中に現場内のマッピングを自動で行い、その後、自動経路探索によって走行することが可能だという。また、搭載されたカメラで人や障害物を検知すると、衝突を回避したうえで回避経路を自動探索するとしている。

  • 2022年9月量産開始予定の新製品「AspinaAMR」

    2022年9月量産開始予定の新製品「AspinaAMR」

ASPINAのブース担当者によると、AspinaAMRは2022年9月からの量産を予定しており、「製造現場ではまだAMRが浸透していないので、量産以降も使用者からのフィードバックを受けながら、さまざまな製品展開につなげていきたい」とのことだ。

映像と音声を同期記録し不良原因をその場で解析

ものづくりの現場では、製造ライン内で発生した異音に対して、発生源の正確な把握や早い段階での原因解析が必要となる。

そうしたニーズに対応することを目的に同社では、高速で動く部分のスーパースロー映像を撮影すると同時に、音声の波形を同期して記録するハイスピードカメラ「PLEXLOGGER(プレクスロガー)」を展示している。

  • 異音発生原因のその場での解析を可能にする「PLEXLOGGER」

    異音発生原因のその場での解析を可能にする「PLEXLOGGER」

同製品では、製造機械から発生する音声とその映像を同期記録することが可能で、異音が発生した瞬間を波形データで把握したうえで、その瞬間の製造機器の様子をスロー映像で撮影できるという。

また、ノートパソコンより1回り小さいサイズのデータロガー上で記録データが確認できるため、映像を撮影したその場で原因解析を進められるとしている。

ASPINAの担当者によると、同製品は運搬や設置における負担が少ないとのことで、「撮影に必要な三脚やLEDライトなどの機器をすべてまとめても、飛行機の機内持ち込みが可能なキャリーケースに収まるサイズなのが強み」と語った。

同製品は特に、秒単位での動作の遅れが大きな損失につながる自動車製造現場での需要があるといい、製造機器不良に対して高速での原因解析や修復が求められるため、現場で不良解析を進められる同製品の導入が広がっているとのことだ。

さまざまな領域の自動化を目指すASPINA

これらのほかにも同社ブースでは、医療機器の小型・静音化に寄与するブロワなどの技術や、これまで家電領域で培われたファンやポンプなどの流体制御技術が展示されている。

特に流体制御向け技術については、家電領域以外にも広い領域での活用を目指しており、今回の展示会ではさまざまな領域に携わる来場者に技術を紹介することで、これから活用の幅を広げる狙いだという。

なお、前出のブース担当者は、「日本の工場ではあまり自動化が進んでいないところがある。私たちは、モータを中心とした技術を広い分野に活用していくことで、工場をはじめさまざまな自動化に貢献していきたい」と日本の工場の自動化を支えていく思いを語ってくれた。