九州大学(九大)、国際医療福祉大学、福岡国際医療福祉大学の3者は7月15日、右眼と左眼用の映像としてわずかに横または縦にずれている画像を健康な参加者に見せ、脳のごく微小な磁場を測定する脳磁計を用いて、両眼を別々に動かす脳の仕組みを調べたところ、映像に対して眼が動く直前では映像のずれの向きにかかわらず脳活動は似ていたが、眼が動くタイミングでは横方向と縦方向の間で異なる脳神経ネットワークが使われていることがわかったことを発表した。
同成果は、九大大学院 人間環境学研究院の光藤宏行准教授、国際医療福祉大の緒方勝也教授、福岡国際医療福祉大の飛松省三教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。
人の両眼は、視覚映像に合わせて揃って動くことで、視界を安定させ、立体感を得ることができるようになっているが、全人口のうちの少なくとも5%ほどが、若年層では多く見積もるとおおよそ1/3が、両眼を揃えることに困難を抱えているという。
このような問題を解決するためには、映像に合わせて両眼を揃えるためにどのような脳内ネットワークが働いているかを知る必要があるが、その仕組みは明らかになっていなかった。
そこで研究チームは今回、両眼の動きをモニターしながら、脳のごく微小な磁場を測定する装置を用いて、両眼を異なる向きに動かすための脳神経活動を調べることにしたという。