一般の日本人約5万人分のゲノム(全遺伝情報)解析を完了した、と東北大学東北メディカル・メガバンク機構などが発表した。米英に次ぐ世界有数の規模となった。「官民共同10万人全ゲノム解析計画」に基づくもので、データを順次、研究者に提供していく。がんや難病の解明、創薬などに役立つことが期待される。

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    ゲノム情報の大規模データベースを構築すれば、一人一人の遺伝子の変異に基づいた「ゲノム医療」に役立つ

日本人のゲノム構造は欧米人とかなり異なるため、日本のゲノム医療のためには、これを正確に把握する必要がある。また、患者の遺伝子の変異を判断するには、参照用の大規模な一般住民の、ゲノムと健康情報のデータベースが必要だ。

そこで同機構は宮城、岩手県などの住民15万人超の協力で、DNAなどの生体試料を集めてきた。これらのゲノム解析を進めており、昨年12月に約1万4000人分に到達。さらに今年6月末までに、約5万人分の解析を完了した。このうちデータの偏りを避けるため近親者を排除した約3万8000人について、データベースにまとめて公開した。

広く研究者が利用すれば、個人ごとに健康上のリスクを予測し病気を予防することや、創薬の加速につながると期待される。日本人だけではなく東アジアに適用できると考えられるという。公的資金や製薬企業のデータ利活用料金を財源に、今後も解析を続け、10万人分のゲノム解析を目指す。

一方、海外にはさらに大規模な取り組みがあり、昨年11月に英国で20万人分、今年3月には米国で10万人分の解析情報が公開された。同機構の山本雅之機構長は会見で「一般住民のゲノムデータは、革新的な創薬に必須だ。米英に比べ(データの)規模は小さいが、こちらは追跡調査や家系の情報があり、非常に分厚い健康情報がついているのが特徴。東アジアを代表してしっかりやっている」と述べた。

東日本大震災の復興事業として、同機構と岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構が進める「東北メディカル・メガバンク計画」の一環。ゲノム調査は2013年に開始した。15年度からは日本医療研究開発機構(AMED)が支援機関となっている。

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