矢野経済研究所は7月19日、国内のERPパッケージライセンス市場を調査し、参入企業・ユーザ企業の動向、将来展望を明らかにした。
同調査では、ERPパッケージベンダーのライセンス売上高(クラウドのサブスクリプション売上高を含む)をエンドユーザー渡し価格ベースで算出している。なお、コンサルティング・SI(システムインテグレーション)など、保守サポートなどの関連売上高は含まない。 2021年のERPパッケージライセンス市場は、エンドユーザー渡し価格ベースで1278億円、前年比10.1%増となった。2020年は新型コロナウイルス感染拡大を要因とする、ユーザ企業の業績悪化懸念などから案件の先送りが発生したため前年比1.4%増とほぼ横ばいだったが、2021年は一転して2桁成長となった。
2022年の同市場は前年比5.2%増の1345億円になると同社は予測する。特需的な要因(前年に先送りされた案件が上乗せされる)があった2021年と比べると伸び率は下がるが、老朽化したレガシーシステムのリプレイス、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環としての経営基盤強化といったニーズが市場の成長を支える。
コロナ禍で加速したクラウド化(クラウドでのERP利用)は、ERP導入における継続的なトレンドとなり、クラウドへのシフトはいっそう進展するとの見通しを示す。システム基盤にIaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)を利用する形態が中心だが、SaaS(Software as a Service)の利用も拡大すると同社は見込む。
2022年の注目トピックとして、同社は電子帳簿保存法やインボイス制度といった法制度対応を挙げる。電子帳簿保存法は2022年1月の改正で要件が緩和されたとともに、電子取引における電子保存の義務化に2023年12月末まで2年間の猶予が認められることとなった。また、2023年10月にはインボイス制度の施行を控えており、ERPパッケージベンダーは猶予期間中にインボイス制度を含めた法制度対応の支援を進める考えである、と同社は見通す。