大日本印刷(以下、DNP)は7月15日、Nearと協業し、実世界の人流データを活用してオンラインとオフライン双方のデータの解析やデジタル広告の運用など企業のマーケティング活動を支援するサービスを、広告取引経済圏「DNP Marketplace」に組み込んで提供を開始することを発表した。DNP Marketplaceは、DNP独自の広告取引経済圏として、広告主の要望に沿った広告枠を同社が持つ広告媒体から確保して配信するサービスだ。
近年はPCやスマートフォンなどの情報機器が普及するとともに、SNSやEC(Electronic Commerce:電子商取引)サイトなどの利用が広がっている。しかし、消費活動の約9割はリアルな店舗などオフラインで行われているという。
そうした中で、感染症の流行によって外出の自粛や対面機会の縮小が余儀なくされ、生活者の購買プロセスが変化し選択肢も多様化している。そこで、オンラインとオフラインの両方の生活者の行動データを連動させたOMO(Online Merges with Offline)型のマーケティングに対する需要が高まっているとのことだ。
こうした背景を受けて、DNPは今回、世界規模でオフラインの行動データを保有して企業のマーケティング支援やビックデータの解析、デジタル広告サービスなどを展開するNearと協業を開始する。これにより、本人の同意を前提として取得した生活者の位置情報と、基盤となる地図情報をAI(Artificial Intelligence:人工知能)で解析し、高精度なターゲティング広告を目指すという。
OMO型のNearサービスは、国内の約5千万人がスマートフォンアプリなどの利用を通じて提供している位置情報と、約500万件の場所データをマッチングさせて匿名の状態で生活者の行動を可視化可能だ。このような「人流ビッグデータ」を用いて、オフラインにおける実店舗の利用者やその近くにいる生活者を抽出するほか、匿名の生活者の来店までのルート(起点・滞在地・訪問先)を確認できるようになる。
また、人流ビッグデータを企業が保有する会員データ(ファーストパーティーデータ)と連動させることで、実店舗やサービスを利用する会員の行動や嗜好などをより深く理解できるようになると期待される。会員以外の生活者に対しては、デジタル広告の配信などによって継続的な来店を促す。
デジタル広告を用いたキャンペーンの際には、各広告の識別IDと対象店舗の地点を登録することでキャンペーン実施後の来店者の計測も可能だ。これにより、広告をきっかけとした来店効果を測定できるとしている。