ソフトウェア開発におけるE2Eテスト(End to End Test)の自動化ソリューションを提供するmabl(メイブル)は7月13日、日本市場での本格的なサービス展開と事業戦略を発表するハイブリッド記者会見を開催した。
同社は7月14日より日本語にローカライズされたアプリケーションと、日本語版UIの提供を開始する。同アプリケーションは「日本語アーリーアクセス版」となり、日本語化が完了していない部分が存在する。具体的には、ナビゲーションメニューやトレーナーのメインページなどデスクトップアプリケーションのコア部分は日本語化されているが、ローカル実行のログやインテグレーション、またはメールなどの動的に生成されるコンテンツは日本語に対応していない。
日本語のアプリケーションとUIは、英語版のデスクトップアプリケーションの「User Settings」で言語設定を日本語に変更することで利用できる。なお、従来有償で英語版アプリケーションを利用していたユーザーの日本語版使用にあたって追加料金は発生しない。
今後は日本現地営業時間での日本語によるライブサポートを新設。テクニカルヘルプドキュメントや学習用コンテンツであるmabl大学(mabl University)、認定試験プログラムなど、日本のユーザー向けのカスタマーサポートサービスも拡充していく予定だ。
同社は2017年に米国ボストンで創業した企業で、ソフトウェア開発チームが開発ライフサイクル全体にわたってE2Eテストを実施できるテスト自動化クラウドサービスをSaaS(Software as a Service)にて提供している。
日本市場には2021年に参入し、同年8月に日本支社を設立した。日本では現在、noteやマネーフォワードなどのスタートアップから東京海上システムズやNECなどの大企業まで、65社がmablのソリューションを導入している。
同社のソリューションは、ローコードでソフトウェアのUIやAPI、モバイルWebアプリ、アクセシビリティテストを行える。また、AIと機械学習を活用したアナリティクスやオートヒーリング(自動修復)機能を備えており、それらを活用してテストのバグ発見や従来は手動で行っていた修正などを自動化することができる。
Jira、GitHub、GitLab、Bitbucket、Slaxkなどの主要な開発向けのツールを統合して利用できる。また、Seleniumテストをmablにインポートしてテスト実行することも可能で、Salesforceワークフローのテスト自動化にも対応している。
会見に登壇した米国mablの共同創設者であるイジー・アゼリ氏は、「日本は世界第3位の経済大国であり、ミッションクリティカルなアプリケーションを開発する企業が存在している。より多くの日本のユーザーがソフトウェア品質を向上させ、アジャイルチームやDevOpsチームが開発サイクルに変革を起こせるよう支援していきたい」と語った。
アジャイルやDevOpsの浸透により開発サイクルは短期化し、新機能の追加や既存サービスを修正する機会が増加している。だが、多くのQA(品質管理)はマニュアルで行われており、テスト項目の増加やリソース不足から早い開発サイクルに間に合わないケースも出てきている。そうした背景から、同社は開発者、QAエンジニア、マニュアルテスト担当者など、開発に携わるメンバーが利用しやすいソリューションの開発を進める。
会見に登壇した米国mablの共同創設者であるダン・ベルチャー氏は、同社のソリューションについて、「前職(Google)からの教訓を得て、スケーラブルでセキュアなプラットフォームを目指している。米国最大手の金融サービス提供企業でセキュリティや性能はテスト済みだ。また、ユーザーのDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するため、テスト結果に合わせたデータアナリティクス機能も提供している。同機能を活用してパフォーマンス、UX、アクセシビリティなどを見える化することで、UX高度化につながるインサイトを得られるだろう」と説明した。
ソリューションの機能面においては、今後、Microsoft Edgeのサポートへの対応やAPIテストやパフォーマンスレポートの強化を進めるという。