欧州半導体大手のSTMicroelectronicsは7月11日(欧州時間)、米GlobalFoundries(GF)と共同で、仏クロルにあるSTMicroの既存300mmファブに隣接する形で、新たな300mm半導体ファブを建設し共同運営することを発表した。

  • STMicroの仏クロル工場

    STMicroの仏クロル工場 (出所:STMicroelectronics)

新ファブは、2026年にフル稼働となる予定で、生産能力は年間最大62万枚(300mmウェハ)を計画している。この新ファブの持ち分はSTMicroが42%、GFが58%となるという。

提供するウェハ技術としては、GFが得意とするFDXテクノロジーと18nmプロセスまでのSTMicroの包括的な微細化テクノロジーとしており、特にFD-SOIベースのテクノロジーについては、複数のバリエーションをカバーするという。

FD-SOIは、STMicroの地元であるグルノーブル地域に端を発している技術で、クロル工場で提供された後、GFの独ドレスデン工場でも商用化された。超低消費電力や、RF接続、ミリ波、セキュリティなどの追加機能の統合が容易になるなどといった設計者と顧客にメリットをもたらすことから、今後数十年にわたって、自動車、IoT、およびモバイルアプリケーションに対して高い需要が続くと予想されている。

STMicroとGFは、この新ファブ向けにEU/フランス政府から財政的支援(金額は未定)を受けることになるという。これは、欧州の半導体生産シェアを2030年までに20%に引き上げることを目指す「欧州半導体法(European Chips Act)」の実現に寄与することになるとするほか、新たに1000名の新規雇用が創出されることが期待されるともしている。

ただし、この新ファブ建設プロジェクトの実行は、欧州委員会のDGコンペティション(独占禁止法審査)を含む、最終的な合意とさまざまな規制当局の承認、およびSTMicroの仏労使協議会との協議の完了を条件としている。

STMicroはイタリアでアナログ・パワー半導体300mmファブを稼働へ

なおSTMicroは、伊ミラノ近郊のアグラテ(Agrate)工場敷地内にアナログ・パワー半導体向けAgrate R3 300mmファブ(R3)を建設中でもある。Agrate R3については2023年上半期の稼働を予定しており、同ファブでは、建設・運営費削減のため、クリーンルームをTower Semiconductorと共有し、その1/3の敷地にTowerが所有する半導体製造装置を設置することが予定されている。