京セラとソフトバンクは7月13日、東京都あきる野市にあるソフトバンクの基地局で、5G(第5世代移動通信システム)向けにソフトバンクに割り当てられたミリ波帯を使用したバックホール・システムの実証実験を2022年1月から4月まで実施し、安定した通信とシステムの有効性の確認に成功したと発表した。
同システムは、ネットワークに接続するO-RAN Alliance(Open Radio Access Network Alliance)のフロントホールの仕様に準拠したドナー局(親局)と、アクセスエリアを構成する中継ノード局(子局)間のバックホール回線を、5Gのミリ波で接続するもの。
具体的には、まずドナー局から260m離れた中継ノード局と、1270m離れた中継ノード局2局を設置した。ここで5Gのミリ波をバックホール回線として接続し、5Gのコア・ネットワーク・サーバから、CU/DU、ドナー局、中継ノード局を経由して、通信端末との接続試験を実施した。
その結果、CU/DUサーバから通信端末までエンド・ツー・エンドで接続できたことを確認したという。また、晴天時に加えて降雨や降雪時でも、ドナー局から1km以上離れた距離を5Gのミリ波を使用するバックホール回線で安定して接続できることを確認したとのこと。
両社は今回の実証実験によって、5Gのミリ波を使用するバックホール・システムが、地形などの影響で5Gのネットワークの敷設が困難なエリアで、工事期間の短縮やコスト削減に寄与すると共に、有効に利用できることを確認したとしている。
また、5Gのミリ波を、基地局と端末間の通信など従来の利用方法に限らない新たな手段として利用できることも確認したという。今後両社は、さらなる低消費電力化や運用自動化などの課題に対して検討を進めていく。
また、国内外の多種多様なニーズに適用できるシステムの検討を推進していく意向だ。