半導体市場動向調査会社である台TrendForceによると、サーバ市場におけるODMの生産計画は徐々に鈍化する動きを見せているという。
半導体やコネクタなどの部材不足が改善傾向となったことから、サーバ向けマザーボードメーカーの在庫は2022年第2四半期に削減が進んだが、中国・上海の都市封鎖の影響を受けたEMSやODMなどもあり、DellやHPEなども生産計画に支障が出ているという。ただし、全体的な出荷としては、短期的な影響は受けておらず堅調であり、TrendForceでは、2022年第3四半期も世界的なクラウドに対するニーズの後押しを受け、前四半期比6.5%増とプラス成長が続くものと予想している。
ただし、TrendForceでは、北米の4つの主要なCSP(Cloud Solution Supplier)がサーバの注文量を減らす動きが現状見受けられないとしつつも、部品不足の折にデータセンター、OEMクライアント、およびあらゆる規模のODMが注文量を増加させ、バイヤーはそうした注文に対応すべく在庫を増やしたこともあり、サーバ市場での注文が余剰気味になっていることが懸念されるともしており、こうしたCSPプレーヤーを中心として、注文調整を行う可能性は排除できないとする。そのため、2022年通年のサーバ出荷数量はこれまでの予測と比べ、わずかに下方修正される見込みだという。
加えて、中国市場におけるサーバ需要が、中国政府の政策によって影響を受ける可能性もあるという。TrendForceは、2021年に中国政府のエネルギー消費とインターネットビジネスに関するポリシーが実施されて以来、中国本土のメジャーインターネットサービスプロバイダーが2022年にサーバの在庫計画を調整し始めたことを確認しているとする。すでにBaidu、Alibaba、Tencentが調達規模を縮小し、中国の4大主要CSPプレーヤーの中で、Byte Danceのみが海外のTikTokビジネスと新規ビジネスを組み合わせたeコマースプラットフォームの積極的な拡大により、中国の国内政策の影響を軽減し、プラス成長を達成することが予想されるという。具体的にはByte Danceは、2022年のサーバ購入で年間70%近くの成長率を維持する見込みだという。
なお、TrendForceでは、新型コロナのパンデミックの影響を受けた過去2年間、世界のサーバ市場は需要側が大きく成長したと見ているが、パンデミックはサプライチェーンとロジスティクスに混乱を引き起こし、業界の発展に不確実性をもたらしている。いまだにパンデミックが終息したとはいえず、2022年後半のサーバ需要も下振れリスクにさらされることになるが、年間のサーバ出荷の成長率は依然として約5%に達する可能性があるとする一方、2023年の在庫調整と全体的な景気後退の影響を受ける可能性があるともしている。